第5話愛の分量

喪主の挨拶。

何も考えていなかった。先輩が「何も言えなければ代るから何も考えなくていい」と言ってくれてたので。

でも、

葬儀が進むにつれ、私たちのことをかわいそうだなぁとみんなが思ってるんだろうなと感じた。それは違う!そんなふうにみんなに思われたらパパに顔向けできないではないか!

私は息子と娘だけに話した。「私たちはかわいそうじゃないよ!パパは一生分の愛をもう全部くれたんだから。だから私たちはしあわせ者なんだよ!だから、胸張ってこれからも生きて行こう!」屁理屈男の息子はめずらしく素直にしっかりとうなずいた。娘にも同じようにちゃんと届いているといいな。

愛情を出し惜しみしないパパだった。

甘やかすだけではなかったから、厳しく、うるさいと思うことは私も子供たちもたくさんあった。でも、同じだけ、それ以上によく笑った。

疑いようのないその愛情を私たちは疑ったことがない。


喪主の挨拶

「私たちはしあわせものです!私たちはパパから一生分の愛をもうもらいましたから!

本日はパパのために、本当にありがとうございました!これからもまた私たちをよろしくお願い申し上げます。」胸を張って言えた!

もう限界

先輩、あとお願いします。

「今のが全てだな、何も私からは言うことはありません。これからみんなでこいつらを支えていきましょう」


パパ、ありがとう。

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