第2話現実

病院の小さくもない部屋。ソファとテーブル。テーブルの上には葬儀屋さんの案内があった。

東山さんがきた「院長は?」そっか、死んだって言ってない。「ダメだった」

見たこともない東山さんだった。膝から崩れおち、人目もはばからず泣いていた、悔しがっていた気もする。

そう、私はもちろん、みんながそれぞれの後悔の渦にいる。誰かが亡くなって、残された近親者が後悔しないなんてことはあるのだろうか?

首に縄をつけてパパを病院へつれて行くべきだった。なぜ、もっと優しくしなかったのか、なぜ、うまく言いくるめて病院に行かなかった?往診でも良かったのに。私たちを思って接触しなかったパパとなぜテレビ電話しなかった?子供たちと話してもらわなかった?なぜもっと注意深くパパをみなかった?なぜ、死んでてもしらないよなんて思った?なぜ、なぜ、なぜ。私は極悪人である。子供たちから、父を奪ったのだ。何もしなかったんだ。


義兄はいつ来たんだっけ?


色々な処置がおわり、パパと対面した。

病院からは、突然死だから解剖が必要です。このまま行くので、今日は帰れませんと。パパ1人で行かせなければいけない。何より病院と1人が嫌いなのに。

ストレッチャーが運び出されようとした時に、ハッとした。息子が,会ってない!どうしよう、会ってない!会ってない!待って!どうしよう。取り乱した私は誰かになだめられ、パパは、初めて1人で、愛する息子に会わずに別の病院に行った。

ごめんなさい。パパ。本当にごめんなさい。


そうか、これ現実なんだ。

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