第7話 義妹は笑い上戸でセクハラ親父ムーブ

「ふぅー」

母さんの膝の上に座って、両隣から姉と妹にご飯を食べさせられるといういつもの食事を終えると、少し休める。


いそいそと部屋に戻る。


部屋に付けられていた鍵は、「Familyニkeyハフヨウデース」という義母の否定しにくい宣言により撤去されている。


おかげ……そのせいで夜になると姉妹が雪崩込んで来るわけだが。


学校から出た課題を適当に片付けながら、一人の時間を満喫する。

相手にされてない独り相撲とは言え、朝から夜まで綺麗だったり可愛かったりする女子に距離感を詰められると気疲れする。


後、やはり自制心を保つのも大変なのだ。


カツコツと鉛筆を走らせること暫く。

もうすぐ終わりが見えて来た頃。


――カチャ――

「兄さん。お風呂」

レイミの声でビクっとする。

振り返ればプラチナブロンドを肩まで伸ばした、10等身のスーパーモデルみたいな妹がいた。

部屋着のフリースを着ているが、それだけでカッコいい。


「びっくりしたぁ。ノックぐらいしようよ?」


「こう?」

――コンコン――

遅れてノックされる。


「うん。遅いけど」

「ノック遅いって……」

そう言うと、クスクスと笑う。

「入ってからノック……」

クスクスで堪えきれなくなったらしく、そのうち、お腹を押さえて笑い始める。


妖精のような美しさを持った妹だが、笑いのツボは独特だ。

そして、笑い上戸だ。


「ヒィ……ふぅ。兄さん、お風呂」

「あ、うん。もう少しで課題が終わるから」

「うん?」

「後で入るよ」

「後って何時頃?」

少し眉を寄せて、腰に手を当てる。


ちなみにだが妹は背が高い。

171センチある。

背は175センチあるのでなんとか兄の面目は保てている。

なのだが、腰の位置は僕の胸のあたりにあって、実は保ててないのではないかと思うのだ。


「どうしたの?」

僕の目がそのしなやかで長い足に注目していたからか、訝しげな目をされる。

「いや、別に」


「で、何時頃?」

時計を見ると10時に近い。

「……10時半頃?」

「ふうん。ママー。リリアー。10時半だってー」

階下に叫ぶ。

了承の返事が返ってくる。


「……レイミさん?」

レイミは去らずに部屋にある椅子を僕の左隣に持って来ると、そこに座る。


「気にしないで。私も日本語の勉強する」

「え、た…」

「何?」

「いや、うん。どうぞ」

「ありがとう」

ニコっと笑って椅子に座ると、その長い足を僕の足に絡み付ける。

更に僕の左手を自分の左手で胸に抱きかかえ、空いた右手で僕の腰というか、尻というかをすりすりと撫で回す。


レイミが言うには故郷では兄妹で一般的なスキンシップらしい。リリア姉さんもジェレスカ母さんも頷いていたのでそうなのだろう。

ただ日本人的な感覚でいうとどうにもセクハラ親父っぽいと思える。


その中、10時半に課題を終わらせた僕はなかなか凄いと思うのだ。


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