第6話 義家族と幼馴染は半裸になるほど仲が良い。
暗くなり始めた道を歩き、家へと帰る。
途中、いつも帰る時間が一緒になる中学生っぽい女の子に怖がられないような急ぎ足で前を進むこと少し、7時前に家に着く。
以前、父さんが仕事で留守にすることが多かった家は真っ暗が当たり前だったけど、最近は明るいのが当たり前だ。
家族がいるというのは、……困ることも多いが、温かい気持ちになる。……困ることも多いが。
玄関を開けると、靴がたくさんある。
今日も困る日のようだ。
家の中では、ゆったりしたリズムのヒーリングミュージックが流れている。
「ただいまー」
と、聞き取れないほど、小さな声で挨拶をして、忍び足で2階にある自分の部や「アラ、オカエリナサイ。ドウシタノ?コッチオイデヨ!」
ジェレスカ母さんの明るい声にハハっと引き攣った笑いを浮かべる。
そのままリビングへ入ると――
――やはりリリアとレイミと萌乃と冷佳がいた。
5人はいつものようにストレッチをしていた。
リリアは長ーい足をバシィっと180度に開いてぺたぁと平べったくなっている。
対してレイミは、あうぁと謎の奇声を上げながら、何やらピコピコと変な踊りのようなポーズになっている。
要するに身体が硬いのだ。
萌乃と冷佳もそれなりに身体が柔らかく、大胆に足を開いて、身体をほぐしている。
その前で、お手本を見せているジェレスカ母さんの柔らかさは言うまでもない。
そこはすごいのだが……。
「イイデスカ?bodyガヤワラカイノハimportant! bodyガヤワラカケレバ、acrobaticナpostureガデキマス!ダンセイノdesireヲ、hardistニシゲキデキマース!」
キラキラと汗を輝かせながら、とんでもない檄を飛ばしている。別に血迷ったわけではない。
ジェレスカの母さんは『100日で作る男ウケに突き抜けたエロボディトレーニング』という……いや、完全に血迷ってるな……。
完全に血迷ってるジェレスカ母さんは、『100日で作る男ウケに突き抜けたエロボディトレーニング』というオンラインサロンを開催している。
このオンラインサロンがネーミングもだが他にも色々血迷っていて、月額15万円。
トレーニングは4ヶ月で100日あり、1日サボると1万円の罰金が発生する。
何が恐ろしいって、それでもサロンは大盛況らしい。
二児の母、しかも、年頃ど真ん中の娘が2人もいるのに、何を宣言してるんだ!?と思うが、その娘が楽しそうに参加しているので何も言うことは無い。言いたいことはあるが。
なんで萌乃と冷佳まで入ってんだよ!?と言うのは我慢している。叫びたいが。
ちなみに、娘と息子の幼馴染からはお金は取って無いとのことだ。
「ハーイ!Intervalデース」
「ふぅ〜。スミ〜!」
休憩に入るなり、いつものように萌乃が飛び付いて来る。
受け止めるが、汗をかいていて、少し湿っぽい。後、やたら甘いいい匂いがする。
「……取り敢えず、服着ろよ」
うなじに顔を埋めて早速ペロペロ始める萌乃に提案する。
「着てるよ。これ、トレーニングユニフォームだし」
そう言って、一旦離れる。
「それにしてもだな…」
改めて見なくても半裸だ。
上半身は薄ピンクのスポーツブラ。
まあ、ここはいい。良くもないけど。
問題は下だ。
ほとんど紐みたいなパンツが一枚。
むしろ、パンツみたいな紐が一本。
以上である。
スラッとした足が剥き出しも甚だしい。
足も腰も剥き出しも甚だしい。
そう!これがジェレスカ母さんの開催するセミナーの公式ウェアである。
なんでも、「身体は見えにくくすると醜くなる」
という理屈らしい。
卒業式という名のオフ会ですらこの格好で集まるらしい。らしい、というのは当然見たことはないからだ。
連れて行かれそうにはなったが。
惜しか…危なかった。
「小さい頃は全部脱がされた」
スルッと視界に入って来たのは冷佳。
こちらも当たり前のように半裸である。
「人聞きが悪いな!」
「「??」」
全く同時に首をひねる双子姉妹。
顔も身体つきもホントにそっくりだ。
「アレは「ハーイ!Restart!!Come on!!」
「は~い!」
言い訳も許されず、元気に返事をしてリビングに戻る萌乃と冷佳。
後ろを向くと、お尻まで剥き出しも甚だしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます