第8話 日本の麗しき文化【裸の付き合い】

「タノシイオフロtimeデース!」

朝も昼も夜も明るいジェレスカ母さんの号令一下、『おー!』と片手を突き上げる姉妹。


場所は、脱衣所。

洗濯機や洗面所が併設されたさして広くない脱衣所だ。


そこに、母・ジェレスカ162センチ。

姉・リリア168センチ。

妹・レイミ171センチ。


そして僕、175cmが一同に会しているわけだ。


大概ぎゅうぎゅうだ。

ちなみにムチムチ感も上から順だ。


ジェレスカ母さんは、さすがというかなんというか、男ウケに突き抜けたエロボディをしている。ほどほどにムチムチで、かと言ってだらしなくない。

人種としてもそうだけど色も白い。シミ一つない。


リリアは手足がスラリと長い。

腰回りも細い。

しかし、胸は大きい。

ものすごく大きい。

むしろデカい。

しかも、ドーン!と飛び出している。

ジェレスカ母さんからムチムチ感を取り払った、そのムチムチ感を胸だけに集めたような感じだ。フニフニと柔らかな感じではなく、パンパンでポヨンポヨンなタイプだ。

こちらも真っ白だ。後、キレイなピ……いやなんでもない。


レイミは更に長い。

細さはリリアとさほど変わらないけれど、手も足も長い。

スラリとしている。リリアがグラビアアイドル風だと言うなら、レイミはモデル風だ。

細いだけでなく、引き締まっている。

しかし、ぺったんこではない。

比較対象がアレなだけで、十分大きい部類に入るはずだ。

こう…ツン!と上を向いている。


なぜわかると言えば、そう、ここが脱衣所だからだ。


いや、それ以前になぜここに一同に会しているかだ。


「スミニモヌグノデース!」

「「はーい」」

母の号令に返事をするのは、僕ではなく姉妹だ。

そして、産まれたままの姿で当たり前のように僕の服を剥ぎ取りにかかる。


我が家の謎風習。

『風呂は全員一緒に』だ。


なんでも『裸の付き合いは絆を深める』という日本の風習に感銘を受けたからだとかなんとか。男女は別だろう!と思ったのだが、義家族の故郷では、サウナは混浴が普通だと言われれば反論も出来ない。


あっという間に裸族と化して、風呂へ入る。


しかし、我が家の風呂はさして広くない。

いや、どちらかと言えば小さい。

高校生の僕が足を半分近く畳んで入る程の大きさだ。


さて、そこにそこそこ、いやかなり大きい……違う、背も女性にしては大きな方であろう3人と一緒に入るわけである。


お風呂のお湯はほとんど張ってない。

もちろん、たくさん張っても溢れ出してしまうからだ。

後、泡風呂が好きで、バブルバスにしている。

ソープなお風呂だ。

やたらヌルヌルヌメヌメするバブルバスは美肌効果が高いらしい。


このヌルヌルヌメヌメするやつを、身体に塗り込むようにするのが良いらしい。

ただ、タオルなどで擦ると、肌は傷むとかで「handsデぬるぬるスルノガbetterデス!」とはジェレシカ母さんの言である。


しかししかし、風呂はもうギチギチだ。

手を伸ばすスペースなどない。

初めてこの事態に陥った際に、「僕は別で入るよ」という至極まっとうな意見は、「手が使えないなら、使わなければいいんじゃない?」というリリア姉さんの謎の解決策に水泡に帰した。

そのため、僕は義家族に囲まれ、その芸術的な肢体でヌルヌルと美容成分を塗り込まれ、同時にヌメヌメとその芸術的な肢体に塗り込むことになっている。


当然、僕の自慢できるようなサイズ感があるわけでもない僕自身は、どこに出しても恥ずかしくしかない変棒を遂げているわけだが、「美容って恥ずかしさに耐えることでもあるの」とリリア姉さんは一ミクロンも気にした風もなく、自慢のプルンプルンでヌルヌルしてくる。


そんなわけで、今日も僕は、風呂でいい汗をかいて心が温まることはなく、変棒が爆発しないように脂汗にまみれているのだった。


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