第126話 大厄災【八龍の宴】 三龍戦、太平洋侵攻
水龍は反対側のミラフロレス
今度は僕も攻撃に参加するけれど、【大魔弓
というか、地龍に防がれた。
地龍の防御魔法かスキルが恐ろしいまでに高性能だ。
多分、核も地龍が防いだんだろう。
ウサランス乗せ大魔弓弐式か?
でも水龍に乗ってる限り当たらなさそう……。
水龍が太平洋に出たところで、大きな水玉をゆっくりスローモーションでこちらに飛ばしてくる。
どうするつもりだ?
空から電撃が降ってきて、水玉に当ててくる。
水に電撃食らわせてどうするの?
電気分解したいの?
地龍が大口を開け、勢い良く閉じると同時に防壁を展開する。
火花も散っていた。それが電気分解により発生した酸素に引火し、大爆発を起こした。
僕は【大魔弓伍式・青龍門〘海〙】【大魔弓陸式・玄武門〘塊〙】を同時に起動する。
爆発を防ぎ、爆発により発生した大波を伍式で相殺する。
相殺しなければ沿岸部が壊滅するからだ。
「父様! 私達はどうすれば!?」
アカネだけではなく、【飛行】を使える勇者達が僕の指示を待つ。
「今の爆発攻撃を自力で防げる者だけが僕についてきて。そうじゃないならクロス・ベルで待機だ。余波がどこに及ぶか分からない。市民の安全確保を第一に、すぐに動けるように」
アカネは拳を握り、震えて言った。
「……父様、はっきり言ってください。私達では役に立たないと」
僕はアカネの肩を掴んだ。
「本当の役立たずは、諦めて何もやらない奴だ。アカネ達には三龍の進路の先でやってもらうことが山のようにある! 分かった?」
「はい! 父様!」
顔を上げたアカネの顔には闘志があった。
これなら大丈夫だ。
「ベア! アランに要請を! 進路の先で待ち構えてもらう!」
『相分かった! アカネ! 城に戻るぞ! フミオにインカムを返しておく!』
「はい、母様! 皆も1度クロス・ベルへ戻りますよ! 父様、ご武運を!」
僕は【ゲート】を開き、みんなをクロス・ベルへ帰した。
この間、水龍は地龍を背中に乗せたままグルグルと円を描くように泳いでいた。
僕らを観察しているのか?
何が目的……あ、西に泳ぎ始めた。
いや、北寄りだな。
目的地はどこだ?
そもそも目的地に行って何をする気だ?
僕はウサランスを天に向ける。
雷龍から雷を落とされた。
ウサランスは立派な避雷針である。
でも、攻撃力が低い。
直撃を受けても、紙防御な僕でもポーション1つで回復できるぞ?
三龍の爆発コンボ技も、二度目以降見た目こそ派手だが威力をわざと落としている。
まるでついて来いと言わんばかりだ。
時々水龍がグルグル回る……。
海中か。
僕に邪魔されない程度の津波を発生させている。
20〜30cmの津波を太平洋沿岸部にばら撒いている。
何のつもりだ?
ハワイ諸島?
いや、通り過ぎるつもりだ。
この先……まさか……。
「文雄、三龍の目的地は日本だ。その可能性が高い……」
『はぁ!? どういうことだよノリィ!?』
「僕にも分から――」
いきなり目の前で大爆発は止めていただきたい。
障壁は展開済みだけれども。
それとも連絡するなって?
空から雷がチクチク降ってくる。
なんだ? もっと構ってほしいのか?
この三龍は子供か?
「……いや嘘でしょ……勘弁して……なんで? どうして!?」
最悪のパターンが頭に思い浮かぶ。
この三龍、日本を遊び場にするんじゃなかろうな?
なぜ日本なのかは分からない。
でも、この三龍から感じるのは、遊園地に向かうまでのウォームアップ……ワクワクが止まらない子ども達に似た雰囲気なんだよ。
絶対に邪魔させないという地龍の意志。
絶対に辿り着いてやるという雷龍の意志。
絶対に遊んでやるという水龍の意志。
まだこいつ等は本気じゃない。
力を溜め込んでいる。
どうする?
どうすれば勝てる?
…………。日本まであと2時間くらいか?
やるっきゃない。
魔王戦とまではいかないが、有りっ丈の技を叩き込むため、僕も力を溜めるんだ!
ーーーーーーーー ??? ーーーーーーーー
朝っぱらから配下が騒がしい。
「煩いぞ。どうした?」
…………。は?
「アトラ、ダイヤ、アズが消えた? 消えたとは何だ?」
巣から忽然と消えた?
あの巨体が?
全員の書き置きがある?
「な、なんと記載がある?」
イヤな予感しかしない。
『ニッポン! ユメの国! スプラッシュ!』
『フジヤマ。フンカ。マグマ。オンセン』
『チョットニッポン滅シ……遊んデクル』
「あああああ! あんの三バカ龍どもがぁああ!」
アズなんか確信犯ではないか!?
いや、聞いた話だと……思い出せ……そうだ。フジヤマは日本一の山……それを噴火させれば……ダイヤもやばい!
待て……ユメの国はいつも人がごった返す程に多いのだったな?
アトラもダメだ。
「……こちらはミヤで手一杯だというのに……ダメだ。いくら第十勇者が【魔神の足】より強く、【魔王】を倒す者であっても、【魔王】を100年単位で遊び道具としか見ていない【熟した龍】に勝てる見込みはゼロだ」
かと言って私が行って何とかなるのか?
あのヤンチャなガキ達を躾られるのか? 私が?
…………。
ここに決意しよう。
「あるじに会う前に、この命は散りそうだな。だが、私が招いた事態。責任を取ろう。それまで保たせておけ。今代の勇者達よ」
私は【金龍】、
その真の正体は、ただのスライムだ。
ちょっと珍しいゴールデンスライムなのだ。
2000数年前、他のスライムにボコボコにされ、あるじにテイムされ、救われたスライム。
素材さえあれば何にでも【
私は発つ。
あるじの故郷、日本を守るために!
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