第4話初仕事

戦乙女ヴァルキリーズの野営につきすっかり休んだエリス・フォンライトは、次の戦についての作戦会議に参加することになった。戦乙女ヴァルキリーズの作戦は後方隊長のケアリー・ルアが立てている。会議に参加していきなりケアリー・ルアに言われたのはとんでもないことだった。


「エリス・フォンライト貴女にはのダート・アーマーを撃破を頼めるかしら。」


「・・・私に死ねって言いたいの?」


「そんなわけないじゃない。貴女の実力を鑑みて可能だと思って伝えたの。」


エリス・フォンライトはため息をつきながらも作戦の詳細を聞くことにした。


「それでどうゆう作戦なの?」


「今回の雇い主はなるべく長期戦にしたくないの。そこでアディ達が相手の主戦力をひきつけ、その間に貴女とファルケによる別動隊として要塞を落としてもらう。だから貴女には相手の門番であるダート・アーマー2機を頼みたいの。」


「・・・分かった。できる限りを尽くそう。」


エリス・フォンライトが納得すると隣にいたアディ・レオーネが軽口をたたいてきた。


「頼むぞ土被り。あたしらの命は、別動隊にかかってるんだよ。」


「あなた達は誰も殺させない。安心して。」


作戦会議は終了しエリス・フォンライトは自分のテントに帰った。


「カータダート・アーマーはどんな感じ?」


「んと・・・完璧だよ。全力を出せる。」


エリス・フォンライトは申し訳なさそうにとんでもないことを言った


「今回の戦闘でたぶんダート・アーマーを完全に壊すことになるかも・・・」


アグネス・カータレットは驚愕した


「ええ!?どんな作戦することになったの?」


エリス・フォンライトは作戦を説明した。すると急にアグネス・カータレットがダート・アーマーを改造し始めた。


「多対一するんじゃ使ってほしい装備がある。昨日から鍛冶屋のクラム・プラタと一緒に作っていたの。」


「どんな装備?」


「名前はソル・アルマ。籠手型のゴーレムで色々な武器に変えることができる切り離して簡単な命令もこなせる。ただし武器に変形させた後強度をつけるために硬質化するから次に切り替えるには10秒ほど必要だから気を付けてね。」


「ありがとうカータ絶対に生きて帰ってくるよ。」


「おう!待ってるからなフォン。」


そしてエリス・フォンライトは、傭兵団の戦乙女ヴァルキリーズとして初めての仕事を始めることになった。ほどなくして先に出陣していたアディ・レオーネ達が戦っている主戦場が見えた。星辰歴400年から防御魔法が凄まじい進化を遂げており戦の決定打として魔法が有効ではなくなってしまった。だから今でも歩兵のぶつかり合いで決着をつけるのである。そして相手の要塞前の森まで来た。するとエリス・フォンライトはダート・アーマーの組み立てを始めた。ダート・アーマーはゴーレムの技術から発展したものであり鎧と防護護符そして内部構造の理解さえあればどこでも組み立てられる。因みに、ダート・アーマー乗りが土被りと言われているのは、初期のダート・アーマーの内部構造が衝撃に弱く戦闘が終わった後に、土まみれで降りてくるのに由来している。


「よし・・・組み立て終わり。じゃあ行ってくる。カレン・ファルケすぐに要塞に行けるするよ。」


「期待してるよ土被り。」


エリス・フォンライトはダート・アーマーに乗り込み起動した。森から姿を出した。すぐに門番をしている相手のダート・アーマーがこちらに気が付いた。片方は槍もう片方は剣を使っている。どうやら自分たちが襲われると思っていなかったらしく驚いていたがすぐに落ち着きを取り戻し、こちらに向かってきた。


「・・・生き残って見せる。」


そうエリス・フォンライトがつぶやきソル・アルマを盾の形に変化させつるぎを構える。相手のダート・アーマー達はエリス・フォンライトを警戒しつつ人数の有利を生かすように挟み込むように動いていた。


「想定内。」


エリス・フォンライトは槍を使っているダート・アーマーの方に出せる全力の速度で詰め寄った。距離が離れていたため当然迎撃されるが盾で弾き相手のダート・アーマーに肉薄し剣振り下ろしたが・・・


「っ!ここまで練度が高いとは・・・」


槍の柄の部分で受け止められてしまい致命的な一撃にはなりえなかった。すぐさま体勢を立て直すように槍のダート・アーマーが距離を置くと、後ろの方から剣を構えながら突っ込んでくるもう片方のダート・アーマーにエリス・フォンライトは意識を向けた。剣の腕に関しては相手の方が一枚上手でだんだんとエリス・フォンライトのダート・アーマーが削り取られていった。今度は剣のダート・アーマーと戦っていると後ろから立て直した槍を持っているダート・アーマーが襲い掛かる。


「無理してでも押し通す。」


エリス・フォンライトは剣の方のダート・アーマーに無理に突っ込み数発まともにもらったが押し倒すことに成功した。すぐに反転して槍の方に襲い掛かる。同じように肉薄し叩き切ろうとする。また柄で受け止められると思いきやエリス・フォンライトは先ほど受け止めた部分に正確に剣を打ち込み槍ごとダート・アーマーを両断した。


「あと1つ。」


しかしエリス・フォンライトの乗っているダート・アーマーはボロボロで歩くのもやっとのような状態である。それに対して相手のダート・アーマーはあまり破損はなく全力を出せる状態だった。さらに剣技はエリス・フォンライトよりも相手の方が一枚上手だった。


「出し惜しみは無しだ。」


そうエリス・フォンライトがつぶやくとソル・アルマを球状にし相手のダート・アーマーの手首に投げつけると同時に剣を捨て少しでもダート・アーマーの脚部に負担をかけないように走り出した。相手が剣を構えようとするがエリス・フォンライトが投げたソル・アルマが手首をへし折っていた。エリス・フォンライトはその隙を見逃さずタックルをして相手ダート・アーマーに馬乗りになり、


「死ね。」


ひたすら土被りが乗っているであろう場所に拳を振りかざし打ち付けた。こちらの拳が砕けようとも相手がもう動かずとも何度も何度もエリス・フォンライトが我に返るまで続けた。


「・・・あカレン・ファルケに撃破したこと伝えに行かなきゃ。」


ダート・アーマーを立ち上げようとしたら足が折れてしまい動けなくなってしまった仕方なくエリス・フォンライトはダート・アーマーから降りてカレン・ファルケ達の元に戻るのだった。







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ロック&アイアン ジムっ子 @gmnori

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