第二部 エピローグ
エピローグ ???
クソッ!
ふざけんな!
また失敗した。
この二年チャンスをうかがって、今度こそ目的を果たせると思ったのに!
またあの女のせいだ。
二年前、何であんな女があの場所にいたのかは知らない。
でもまあ、たまたまだったんだろう。
誰にとっても想定外のことだったから。
だから、二年前のことは仕方がない。
仕方がないが、まさかあれで【月帝】と【星劉】がまとまってしまうなんて……。
その想定外は本気でいらなかった。
おかげで亀裂を入れるのも簡単なことじゃあなくなったし、この二年なかなかチャンスを掴めなかった。
それでも二年前のことを直接知る上級生が卒業して行って、知らないのに【かぐや姫】を探させられる下級生が多くなって……。
不満も募って来てそろそろ、と思っていたところに【月帝】の下っ端が退学させられる事態になった。
それこそチャンス到来ってやつだ。
俺はここぞとばかりに裏から煽り立てて、事態を収拾不可能にまで追いやる。
そうしたら案の定二人の総長は二年前と同様の判断を下した。
つまり、意図的に抗争を起こして発散させるというやつだ。
その準備を進めていくやつらの裏で、俺も準備を進めていく。
今度こそはと思っていたのに、街に【かぐや姫】が現れる事態になった。
この二年どんなに探しても見つからなかった【かぐや姫】が。
たまたまってこともあり得るが、また邪魔をされそうな予感はした。
何でこのタイミングで現れるんだ!って思ったよ。
もう準備は進めていたから、今更やめるわけにもいかない。
それに、本当に邪魔されるかは当日になってからじゃないと分からない。
このまま計画通りに進めるしかなかった。
その結果がこれだ。
念のためと、混乱を煽るためにスターターピストルや爆竹を用意したが……。
二年前以上に力強い歌声にその混乱も奪われた。
小柄なのに惹きつけられる存在感に、みんなが注目した。
月に向かって歌う姿はまさに【かぐや姫】の様で……。
その存在を知らなかった今の1、2年生はこう思っただろう。
『聞いていた【かぐや姫】とは、彼女のことなんだな』
……と。
だから、すぐにその名前が出てきた。
それは波紋のように広がって、一つの塊のように彼女を求める。
二年前と同じだ。
彼女の姿を目にして、その歌声を聞いた奴らはみんな彼女に惹かれた。
それは……そう、この俺も例外じゃない。
でも、だからこそ憎らしい。
惹かれるような女だからこそ、俺の邪魔をされて腹立たしい。
しかもおそらく、以前のように二つのチームは【かぐや姫】を求めることでまたまとまってしまうだろう。
また亀裂を入れるチャンスが遠のいた。
「クソッ!」
腹立たしさに思わず悪態をつく。
あまり時間をかけてもいられないってのに……。
気づかれる前に、修復不可能な亀裂を入れろと言われている。
他にも方法を考えなければ……。
そうして苛立ちを募らせていた俺に突き付けられた事実。
【かぐや姫】は、最近何かと問題になっている星宮美来という転入生だったということ。
その事実に、俺はさらなる愛憎を募らせることになった……。
【地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~ 第二部完】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます