第12話 峰岸葉山

 やられる……


 そう思った瞬間、峰岸たちの後ろから白衣びゃくえ緋袴ひばかまという巫女みこのような装束の女性が現れ、何かを口ずさみなら手刀で星の形を切った。


「五芒星」

 堂場どうばの表情が変わった。


 一瞬、堂場の足元に星形の光が浮かんだかと思うと、その光が柱となり堂場を包み込んだ。そして、光に飲み込まれるかのように堂場総司は姿を消した。


葉山はやま

 峰岸が驚いたように呟いた。


 だれ? なんなのこの巫女のような女性は? どこから来たんだ?

 多岐川たち三人はこの女性の出で立ちと、なにかとてつもない力に言葉を失った。


 葉山と呼ばれた女性は、まだ、先程まで堂場どうばのいた方に強い視線を送っている。


 暗闇の中に誰か立っている。四人は目を疑った。一瞬、少女かと思った。肩までの髪、前髪をそろえた小学生くらいの少年が立っていた。周りに身長が二メートルほどある体格のいい大男が三人。黒いスーツに身を包んで立っている。


 多岐川たち三人は後ずさりした。

 峰岸は、その葉山という巫女のような装束の女性の横に立つ。


 葉山が少年に話しかけた。

嵯峨野安玖深さがのあぐみ……」


 誰? 多岐川たち三人は、この子は誰なんだという顔で少年を見る。


 葉山が続ける。

「何をしようとしているのだ。嵯峨野さがの、いや、ミカドと呼んで欲しいのか」

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