第11話 堂場総司
今日は遅いから、また、今度連絡すると占い師の
気が付くと夜の11時を回っていた。多岐川が慌てて岡崎に言う。
「急がないと岡崎さん終電が」
「私この隣の駅なの。駅のこっち寄りなんで歩いて帰れます」
「え、そうだったんですか?」
峰岸が近くまで送ってくれることになり、人通りの少なくなった商店街を四人が歩く。
神谷の足が止まった。多岐川も顔から血の気が引くのを感じた。
「キャー」
岡崎が峰岸の腕につかまる。
「大丈夫」
峰岸が三人の前に立った。
数メートル先に軍服を着た大柄な男が立っていた。男はゆっくりこちらを向く。
多岐川と神谷も動くことができない。
男が静かに言う。
「おまえが峰岸か。だが、私の相手になるだろうか」
次の瞬間、男はこちらに人差し指を向けた。
「っ!」
神谷が
「
峰岸が何かを口ずさみ人差し指と中指の手刀を堂場に向ける。
堂場がそれをかわした瞬間、神谷は堂場の呪縛から逃れることができた。峰岸が息苦しそうにする神谷を多岐川に預ける。
堂場は不敵な笑みを浮かべながら、胸の前で両手の指を絡める様に不思議な形を作って何かを口ずさみ始めた。
九字切りか……
峰岸の表情に緊張が走った。
三人の前に出て、何かを口ずさむが、峰岸の方は三人を守らねばならないということが先に立ち防御が遅れる。
堂場の周りの空間が歪むように見え、何か大きな力がこちらに向けられようとしているのがわかった。
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