第5話 占い 昭和の忘れ物
仕事を終えた多岐川は都心にある会社から電車で自宅の最寄り駅まで帰る。
駅前の商店街を歩く多岐川は、いつものように飲食店やコンビニ、何を売っているかわからない店を横目に歩いていた。
駅から少し離れたシャッターの閉まった店の前で、小さなテーブルを置いて占いをしている女性がいた。
この辺では時々、道端でアクセサリーのようなものを売っていたり、占いをしていたりする。
同じ人か、どうかもわからないが、誰かを占っているのを見たことがない。
いつも黒っぽい服装。前髪をそろえたストレートの髪。スッとした綺麗な顔立ちの女性だ。
占い……何か他で仕事をしていて、空いた時間で趣味としてやっているのだろうか……
そんなことを考えながら前を通り過ぎようとすると、テーブルの上に置いた綺麗な水晶を見ながら、ふと、女性が呟いた。
「
と言った。
多岐川は周りを見回したが、自分しかいないようだ。もう一度、彼女の方に目を向けると、彼女は微笑みながら、
「
と言った。
「私に言ってるんですか?」
「あなたです」
「ミカドとは、なんですか?」
「昭和100年になるとき『
「なんというか、随分、わかりにくいですね。何か予言みたいだ。よくわからないが、その『復活』と私が関係あるんですか?」
私の質問には応えず、
「なにか、お悩みがあったら占いますよ」
そう言って女性は微笑んだ。
「あなたの言った『
そう言うと、
彼女は微笑みながら、
「いずれ、わかるでしょう」
と言って店仕舞いを始めた。
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