第10話:先輩キモ~い。マジさいてー鬼引くわ~
「こじれてんなーこの先輩。100%ないですって。おにーちゃん、ずっと付き合ってる彼女いますもん。見てください? この顔で、サッカー部の部長ですよ? まさか独り身なわけないじゃないですかー」
浮気相手ではなく、ただの従兄妹……?
寝取られたとばかり思っていた。
急には信じられなくて、頭がこんがらがる。
「どーせ、こんなことだろうと思った~今日来て正解でしたね――アツっ、ふーっ、ふーぅ」
一人だけティータイムしてる。
彼女からすれば、たしかに他人事なんだけど……。
「別れる前にちゃんと話したほうがいいって、あれだけ言ったのに。これ、先輩の勘違いですよ。いかにも遊んでそうな見た目してますけど、お姉ちゃん重い女なので、膜つきですし。言い方変えれば、一途ってやつです」
「はぁ……」
「まあ、先輩が寝取られて興奮するっていうなら、土下座でもすれば、お姉ちゃんはドン引きしながらも、なんだかんだ先輩の好みに合わせようと、寝取られにいくかもしれませんが。それでも、お姉ちゃんの一番は変わんないと思いますけどね」
「女子中学生がなんつーこと言うんだ……」
「不器用というかなんというか。二人とも一人で考えすぎなんですよね。何かあったらちゃんと話さないと、他人のことなんて分かるわけないじゃないですか~」
「なぜにそんな大人っぽいんだ……さっき処女って自分で言ってたよね」
「先輩きも~い。そーゆうの覚えてるトコとか、マジきもーい無理」
「あー、これ姉妹だ。姉妹そろって同じこと言ってる」
「先輩の言うように、未通女ですよ。ただ見ての通り、私ってモテますしね~。なーんか勝手に経験豊富そうって周りから思われて、いろんな子の相談乗ってるうちに~ってパターンですね~」
「耳年増ってやつか」
「んふ~、なにか言いましたー?」
「あ、なんでもないです」
足は踏まれたままだ。
痛い。
「で、どーするんですか? よりを戻すも、このまま距離を置くも、先輩の気持ち次第ですよ。復縁するなら、ちゃんと時間つくって二人で話し合わないと。先輩だけじゃなく、誤解されるようなことをするお姉ちゃんにも非はありますし……」
食べ終え、食器を重ね始める。
そろそろ帰るつもりだ。
「妹としては、せめて誤解だったって、先輩の口から伝えてほしくはありますけど……これは二人の問題なので、私がどうこう言う筋合いはないですし。そもそも、先輩はまだ、お姉ちゃんのことが好きなんですか?」
好きとか、嫌いとか考えてもなかった。
ずっと、復讐して後悔させてやるとしか思っていなかったから。
別れる前までは、たしかに好きだったけれど、今は……。
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