第9話:お姉ちゃんに、浮気相手って……?

「お姉ちゃんがヤリマンって、ウケるw いったいどこを見たらそうなるんですか~? バリッバリ処女ですよ。これ以上こじらすと今以上にめんどくさい女になりそうなので、むしろ早く卒業してほしいんですけど。あ、ちなみに私が処女ってのもホントです」


「えぇ……その見た目で?」


「あー、ひど~い。人を見た目で判断しちゃダメって小学校で習いませんでしたー? こうなったら、お姉ちゃんに言いつけちゃうぞー」


「やめてまだ死にたくない」


「でー? 浮気現場に遭遇したんでしったっけ。まーないとは思いますけど、一応聞いてあげます――」


 「いただきまーす」と、ケーキの包装をとき始めた。


 テーブルには、チョコミルクレープとほうじ茶ラテが2つ。


 なぜかすべて奢らされる羽目に……。


 平日に2,000円の出費。


 財布が痛い。


 せめて元は取ろうと、光景を思い起こす。


「付き合ってた頃、放課後は毎日一緒に帰る約束をしてたんだ。ただ、その日は委員会で遅くなりそうで、そのことを伝えにいったら――」


「知らない男に抱かれてた、と」


「これ、写真……」


 スマホを見せる。


 そこに、証拠は映っていた。


「う~ん……? 顔見たいんでもうちょいアップ」


「はい、これ。自由に見ていいから」


 フォークを置いて、スマホを受け取る。


 そして、顔とスマホを見比べた。


「そんな心配しなくても、他の写真見たりしませんって~。スマホって個人情報の塊ですもんねー、大丈夫です。私、理解ありますし。小さい子の裸とか、お姉ちゃんのハメ撮り出てきても、通報しませんから~」


「そこは通報して!? いや、やましいのは何もないけど……」


「ふんふん~、あーっ……やっぱり」


 やっぱりって何!?


 何も、ないよな。


 エロサイトはいつもPCだし、検索履歴だって。


「なーにキョドってるんですか~? やーい、エッチせんぱーい」


「煽るな、変な目で見られるだろ……それより、『やっぱり』って」


 チラチラと、周りの視線を感じる。


 『エッチ』とか言われて、絶対変な誤解されている。


 居心地が悪い……。


 ラテを飲んで、平静を装った。


「いやー、なーんか見覚えあるな~って気になっちゃって。これ、お姉ちゃんと映ってるの、おにーちゃんですよ」


「はい……?」


「あー、おにーちゃんじゃ分かんないか。その人、従兄です。昔から知ってるので、普段はおにーちゃんなんて呼んでますけど。そーいえばおにーちゃんは従兄だったっていうの、今思い出しました」


「え。待って、それってもしかして……」


「はい」


 スマホを返すと、食べるのに戻った。


「その従兄とアイツが、実は付き合ってるなんてことは……」

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