第10話結果発表
ついにテストが始まった。
と言ってもいつも通りするだけだが。
一日目は国語と数学だ。
「彼方〜!過去最高かもしれない」
「過去最高何点だよ?」
「聞いて驚け47点だ!」
「な、なんだってー」
なんだこの茶番は。
「彼方はどうよ?」
「俺はいつも通りかな」
「いつもの全教科70点台ね」
これが一番普通だろ。
俺は平凡が一番なんで。
♦︎
二日目、三日目とも無事に終わった。
「やっと終わった〜!」
彰人がグッと伸びをした。
「よし、彼方!行くぞ!」
「え?どこに?」
そうして連れられたのは、図書室だ。
中に入ると白石さんと愛莉がいた。
テスト終わりだからか人が全くいない。
「やっと来たわね」
「九条さんすみません、彼方が暴れておりまして…」
「俺のせいにするな!あと暴れてない」
なんでここに連れてこられたのか全くわからない。
何かしたか?
「それよりなんでここに呼ばれたんだ?」
「ここに呼んだのは、夏休みの予定でも決めようと思ってね」
夏休みの予定?
家で引き篭もることだが?
「そう言うことだから、どこか行きたいとことかある?」
そんなのひとつしかないだろ。
「ない!」
「あなたは黙ってなさい」
「え?」
え?
「プールとかどうよ!」
「ナンパとか多そうだけど?」
二人がいたらナンパ目的のやつが鳩のようにやってくるだろう。
「俺と彼方で守れば大丈夫だろ!」
「たとえ何があっても私が権力を振りかざせば一発よ」
「仮にも日本の未来を背負ってるお嬢様がそんなこと言っていいんですか?」
「身を守るための仕方無い犠牲よ」
…そうですか
「他には何かあるかしら?」
「夏祭りは?」
「お!夏祭りいいな」
三人で勝手に予定が決まっていく。
そして俺も行くことになっている。
いや、行かねぇぞ
と言うことで立ち去ろうとしたら
「か〜な〜た〜どこに行こうとしているの?」
愛莉さんのものすっごい圧を受けました。
愛莉さん怖いです。
「いや〜三人で楽しんできてね」
「あんたも行くのよ」
「え〜」
「嫌そうにしない!」
実際に嫌だよ。
「湊くんは私たちと遊びたくないの?私は湊くんと遊びたいよ?」
上目遣いで白石さんはそんなことを言ってきた。
うん、可愛い。
やっぱ可愛いは正義だな。(n回目)
「…わかった」
「女神様パワーすごいな」
俺もそう思う。
あの顔で言われたら、絶対拒否できない。
♦︎
「彼方〜!」
彰人が叫びながらこっちにやって来た。
いつもよりやけにテンション高いな。
「見てくれ!赤点なしだ〜!!」
「お〜よかったのか?」
「これで…これで夏休み俺は遊び放題だ〜!!」
テンション高すぎやしないか?
言うても赤点なしなだけで、結構危ないやつもあるんだが…
本人が満足そうなのでいいか。
「なぁ、夏休み中キャンプ行かね?」
「いきなりだな、キャンプ?」
聞いたことはあるが、実際どんなものかわからない。
「そう、凛と透と俺と彼方の四人でさ」
「二人は大丈夫なのか?」
「おう!了承をもらったぜ!」
「そうか…」
キャンプをしてみたいという気持ちがあるんだが…う〜ん。
数分迷って俺が出して結論は
「わかった、行こう」
了承だ。
やっぱ経験は積んでおくに越したことはない。
いつか役に立つ日が来るかもしれないし。
♦︎
廊下にテストの順位が張り出されているので、俺は見に行くことにした。
「五十位か」
ここに張り出されているのは百位までなのでちょうど真ん中だ。
高くもなく低くもない普通の順位だ。
最近はちょっと目立ってしまいすぎたからこう言うとこで調整しないと…
「湊くん!」
「ん?」
白石さんか。
「どうだった?」
「普通だった」
「確か五十位だっけ?」
「そうだな」
「普通だね」
「だろ!」
フッ、やはり俺は普通だ!
普通で平凡な高校生です。
「白石さんは…一位か」
「…そうだね」
さすがだな。
去年もそうだが、一位以外を取ったところをみた事がない。
最近関わることが多くなってわかったことだが…
白石さんは天才というか、努力家なのだろう。
俺も自分が天才など思ったことがない。
死ぬ気で努力した結果だから…
そう言う点で言えば俺と白石さんは似ているな。
「でも凡ミスがちょっと多かったから…もっと頑張らないと…」
この学校は進学校だ。
優秀な生徒が多い、だからこの学校で学年一位を取れたら十分だ。
それでも喜ぶ仕草どころか自分を責めているように感じる。
白石さんにもきっと事情があるんだろう。
俺と同じように…
関わるべきじゃないことはわかってる、そもそも普段なら関わりたいなんて思わない。
それでも白石さんの力になりたいと思ってしまう。
…どうしてそう思ってしまうんだ?
きっと今の俺にはわからないことだ。
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