第9話テスト勉強やろうぜ!

 体育祭が終わりいよいよ夏休みが近づいてきた。

 だが!その前にテストがある。


「彼方〜!勉強教えてくれよ〜!」

「え〜いやだ」

「ど〜してだよ!?」


 普通に嫌だろ。

 なんで男二人で…


「頼むよ!今日の昼奢るからさ!」


 …なんだと!?

 くっ…なんて魅力的な提案なんだ…

 なら!


「明日、明後日も条件でなら付き合ってやる」

「くっ…背に腹は変えられん!いいだろう!」

「ふっ、交渉成立だな」


 俺と彰人は固い握手をした。


「ねえ!勉強会するの?だったら私もいいかな?」

「「え?」」

「ダメ…かな?」


 上目遣いは反則だろ。

 この人自分の武器をわかっていらっしゃる。


「…わかった」

「やった♪」


♦︎


 放課後になり図書室に来たで。

 大切なことなのでもう一度言うがで来た。

 あれれ〜おかしいぞ〜?

 一人増えてない?


「――なんでいるんですか?さん」

「私も勉強をしに来ただけだけど?」


 う〜ん違うそうじゃない。


「違う、どうして俺たちといるのかって聞いてます」

「その前に敬語外しなさい」


 俺がタメ口で話したらダメだろ。

 ただでさえ二人はポカンとしてるのに。

 それに加え白石さんはちょっと不機嫌になってる。

 なぜ?


「えっとお二人はどう言う関係で…?」


 彰人の敬語を初めて聞いたかもしれない。


「ふふっ、それはもうとっても深い関――」

「おい!勘違いさせること言うな!!」


 何言ってるの!?こいつ


「冗談よ、実際はいとこよ」


 その設定でいくんだ。


「なぁ彼方」

「ん?」

「なんでそんな重要なこと言わないんだ!?」


 だって「今いとこ設定ができた」とか言えるかよ。


「言ったら騒ぎになるわ」

「それはそう」


 というか白石さん息してます?

 チラッと白石さんを見ると何故か嬉しそうにしていた。


「それよりはよ勉強するぞ」

「ウェ〜イ」


♦︎


「はぁ〜〜」

「ため息でかいな、おい」


 そりゃため息もしたくなりますよ。

 なんたって視線が…

 今思えばここに女神様とご令嬢がいる。

 この学校の二大美女と言っても過言ではない人たちが。


「次から図書室禁止だな」

「では私の家で勉強会しましょう」


 う〜ん確かに愛莉の家いや豪邸なら四人でも全く狭くなくていいんだが…

 愛莉と同い年のあるメイドがめちゃくちゃ要注意人物なのだ。

 普通に「彼方様〜♡」とか言って四六時中抱きついてくるやつだ。

 正直に言って会いたくない。


「うお〜九条さんの家だと!行きたい!!」


 お〜い彰人〜?目的変わってないかい?


「私も行ってみたい!」


 白石さんは…可愛いからいっか。

 やっぱ可愛いは正義。

 これ前も言ったな。


「だそうよ。か、な、た」

「はぁ、わかったよ」


 頼むまともであってくれ。


♦︎


 愛莉の豪邸に着いた。

 いや着いてしまった。


「でか!?ほんとに同じ日本かここ?」


 俺も初めてみた時同じこと思ったよ。


「維持費すごそうだね」


 白石さん?初めてみた感想それ?


「そんなことないわよ」


 嘘です。

 この人金銭感覚バグってるので…


「ちなみに金額は…?」

「それは――――よ」

「「「………」」」


 言葉を失った。

 俺も初めて聞いたが想像以上すぎる。

 しれっと規制入ってるぐらいにやばい。

 金額はご想像にお任せします……


「入りましょうか」


 ついにか…

 たまたまいないという不可能な願いを祈るしかない。


「おかえりなさいませ。愛莉様」

 

 中に入るとよく見知ったメイドが出迎えてくれた。


「彼方様は知っていらっしゃると思いますが、メイド長をしておりますひいらぎ心白こはくと申します」


 今俺の内心はどっきどきだ。

 なぜかって?それは…


「ではあいさつも済みましたし…もういいですよね?」

「ええ、いいわよ」


 俺が会いたくなかったメイドがこいつだからだ!


「彼方様〜♡」


 オワタ

 俺に向かって走ってきた。

 家事などなんでもできてメイドとして完璧な美少女なのだが、それ以外が残念な人だ。


「お久しぶりです〜♡」

「ちょっ、くるな!」

「ただのスキンシップですよ♡」


 周りの目を気にしようぜ。

 愛莉は慣れているが、彰人は困惑してるぞ。

 白石さんに関してはめっちゃ殺気放ってますが!?

 それから数分の攻防の末


「追い詰めましたよ♡」


 まずい


「だ、だめ〜!」


 白石さんが間に入ってきてくれた。

 神様、メシア、女神様!


「そろそろやめましょうか?」

「申し訳こざいません…」

「別にいいのよ、面白かったし」


 オホホホと高笑いしやがった。

 ついでに彰人もガハハハと笑っていた。

 何笑ってんねん


 その後は特に何か起こることは…


「彼方様〜♡」

「またかよ!」


 見て貰えばわかりますよね…

 心白が来る。

 その度、白石さんが間に入るを繰り返していた。

 正直俺は勉強どころではなかった。

 まぁ別に勉強はしなくても大丈夫だからいいんだけど…

 柊もそれをわかってやっているのだろう。


「いや〜九条さんめっちゃわかりやすわ〜」

「いえいえ、そんなことないですよ」


 あそこなんかいいかんじの雰囲気になってない!?

 別にいいんだけどさ…助けてくれない?


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