第4話女神様とゲームセンター

 教室に入れば予想通り大量の視線を集めた。


「じゃあ私は行くね」

「じゃあな」

「うん!」


 挨拶をすませて俺は自分の席についた。


「おい!彼方!」


 彰人が声をかけてきた。


「どうした?」

「どうした?…じゃねえよ!どういうことだよ、なんで女神様と――」

「わかった、わかった説明するから落ち着け」

「わかった」


 素直で草。


「昨日、白石さんをナンパから助けたんだよ」

「まじかよ…そんな一大イベントなんで言ってれなかったんだよ!」

「昼休みに昨日ナンパから助けた人が白石さんだって気づいたんだよ」

「そんなことあるか?」

「学校と全く雰囲気が違くてな」

「へー」

「で、まぁ…その流れで友達になってくださいって言ったわけですよ」

「で、このざまと?」

「はい…」

「……」


 急に黙るな


「そんな友達欲しかったのか…」

「悪いかよ」

「別に悪いとは言ってないぞ、ただ…」

「ただ?」

「かわいそうだなってw」


 滅茶苦茶殴りたい


「今度俺の友達を紹介してやるよ」

「よろしくお願いします」


 一生ついていきます、兄貴。


「手のひらくるくるで草」

「心を読むな」


 ――学校が終わり放課後になった。

 帰ろうとしていた時、


「湊くん!」


 白石さんが話しかけてきた。


「ん?どうした?」

「一緒に帰ろ!」


 その言葉に教室に残っていた男どもが一斉にこちらに注目した。

 そして俺めがけてものすごい殺気を放って来た。

 だが、俺はもう無敵状態になっていたので


「ああ、いいぞ」


 と返事した。


 二人で歩いていると白石さんが突然


「どこか遊びにいかない?」


 そんな提案をしてきた。

 俺が青春をしているだと!?


「家に帰っても暇だしいいよ――どこ行くんだ?」

「ゲームセンターに行きたい!」


 ゲーセンか…ふふ、俺の両手が疼くぜ


「私ゲームセンターに初めてきた」

「まじか」


 そんなやついるんだな

 …いるか


「ねぇ、あれ何?」

「あれは…パンチングマシーンだな」

「パンチング?マシーン?」

「自分のパンチ力を測定できるゲームだな」

「やってみてもいい?」

「ああ、いいぞ」


 機械にお金を入れてスタートした。

 百円で三回できるようだ。


 一回目は53kg、二回目は52kgだった。


「次ラストだな。嫌いなやつを思い浮かべて思いっきり殴れ!」

「…うん」


 その結果三回目は70kgだった。

 …上がりすぎじゃね????

 あの女神様にそんな嫌いなやついるの???


「どうだった?」

「女神様も大変なんだな…」

「?」


 同情していると


「………」

「湊くん?どうしたの後ろなんか見て」

「…悪い、なんでもない」

「?」

「気のせいみたいだった」


 とりあえず気のせいだと言うことにしておこう


「わかった、じゃあはい!次湊くんの番」

「え?俺もやるの?」


 と言うことで百円を投入し一回目が始まった


「頑張って!」

「まかせろ!」


 勢いよく殴った結果一回目290kg


「すごい!すごいよ湊くん!お店の最高記録変わったよ!」

「これは高い方なのか?」


 お店の最高記録が272kgだったのを大幅に越した記録だった。

 これが高いのか低いのかは知らないけど。


「あと二回もあるし自己ベスト更新目指そ!」

「そうだな!」


 二回目は288kg、三回目は294kgと自己ベスト更新をすることができた。

 店員さんは仰天していた。


「ねぇ次はあれしよ!」


 白石さんが指を指したのはゾンビを撃ち倒していくガンシューティングゲームだった。

 機体の中に入ろうとした時、またか…


「湊くん?」

「…大丈夫だ」

「?」

「それより始めよう」

「そうだね、それじゃあスタート!」


 ゲームが始まりゾンビが出てくるたび撃ち倒していく。

 現実と同じように頭が弱点のようだ。


「あーもう死んじゃった…」

「百円入れたらコンティニューできるぞ」

「ほんとだ」


 白石さんは百円を入れ再スタートした。


「う〜ん疲れた〜」

「結局ボスは倒せなかったな」

「そう!難易度おかしいよあれ」

「あれがお金を入れさせる戦法というやつだ!」

「時間もいいしクレーンゲームを最後にしたい!」

「わかった」


 移動している間、俺は周りを警戒していた。

 そして、クレーンゲームコーナーに着いた。


「よし!片っ端からやってこー!」

「そんな時間ないぞ」

「う〜」

「まぁ、できるだけやろうか」

「うん!」


 やってきたのは、キラキラと光る輪っかの中に複数本のアームで景品が支えられている台である。

 アームの場所で光を止めることでアームが落ち、景品のバランスが崩れてゲット出来る仕様だ。


「どこのアームを落とすかによって変わるな」

「どこ狙えばいいの?」

「手前のアームを落とそうか」


 百円を入れスタートした。

 ボタンを押してからゆっくりと止まるようだ。


「ダメだった…」

「フッ、俺に任せろ!」


 ゲーセンソムリエの彼方様とはこの俺のことよ!

 結果は――まぁ察してくれ…

 おかしいな、調子が悪いかもしれない

 それにしても、気になるなぁ!



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