第3話女神様と友達

 前回のあらすじ突然女神様が屋上にご降臨なさった以上。



「湊くん?」

「…え?俺?」

「屋上に、湊くん以外いないよ」


 えへへと可愛らしく笑った。

 実に可愛い


「えっと…なんでここに?」

「佐々木くんに聞いたら屋上にいるって言ってたから…きちゃった♪」


 きちゃったってなんでだよ!

 俺を探す理由が無さすぎて警戒する。


「そんな警戒しないでよ!」

「いや話しかけられるようなことしてないし」

「したよ!昨日」


 昨日…?

 昨日は本屋に行こうとしたらナンパに遭遇して、なんやかんやあって少女を助けて…

 ん?少女?

 …まさか


「昨日助けた…」

「やっぱり気づいてなかったんだ…」

「仕方ないだろ。学校と雰囲気が違かったから」

「確かにね」

「で、なんのよう?」

「わかってるでしょ?」


 まぁ予想はつくが


「お礼ならいらないけど」

「そういうわけにはいかないよ!」

「いや、なんで?」

「私の気持ちの問題」

「はぁ…わかったよ」

「やった!」


 お礼を受け取ればもう関わることもないだろう。


「じゃあ何かして欲しいことある?変なお願いごと以外ならできる範囲で頑張るよ!」

「別にジュース奢るとかでいいけど」

「それはだめ!私からしたらお礼になってないもん!」


 そんな頬を膨らまして可愛く言われても、してほしいこととか急に出てこないんだが…


 ……そうだ!


「――友達になってください!」

「…え?」

「俺と友達になるのは嫌か?」

「違くてその、えーと…予想外なお願いでびっくりしただけ」

「つまり…友達になってくれるってことか!」

「当たり前だよ!というか、お礼なんて以前に友達になるよ。だから、もう一つ何かないかな?」


 そうきたか。


「これ以上は何もないんだよなぁ」

「ん〜、あ!湊くんっていつもパンなの?」

「ん?ああ、そうだな。」

「だったら、明日お弁当作ってくるよ!」

「え?」

「どうかな?」

「俺からしたらありがたいけど…」

「じゃあ決まりだね♪」


 決まってしまった。


「あ!もう予鈴なりそうだし戻ろ!」


 もうそんな時間か。

 俺も立ち上がり戻ろうと歩き出してあることに気がついた

 待て、このままじゃ一緒に戻ることになるぞ!

 それはまずい


「白石さんは先戻ってて」

「?」

「一緒にいると、絶対なんか言われそうだし」

「私が女神様って呼ばれてるから?」

「まぁ、その通りだな。それに、勘違いされるぞ」

「私は…気にしないよ?」

「…………気にしてください」


 切実に


「いいじゃん勝手に勘違いさせておけば」

「大丈夫?俺刺されたりしない?」

「湊くん強いし大丈夫だよ」

「そういう問題じゃなくね????」

「それに、それじゃあ学校で私と話すことできないよ?せっかく友達になったのに?」


 ぐぬぬ、その通りだ。

 俺の学校生活か、友達か…

 そんなの、友達に決まっているだろ!


「行こう!」

「うん!」


 廊下に行けば、それはもう浴びたことのないくらいの注目を浴びていた。

 もちろんその中には嫉妬という名の殺意を感じた。


「みんな大袈裟だよね」

「まぁ女神様の横に男がいたらこうなるわな」

「女神様って言わないで、それ結構恥ずかしいから」


 頰を赤く染めて恥ずかしそうに言った。

 そんな俺たちの様子をみて、より一層視線が鋭くなったような気がした。

 …刺されそうが冗談じゃなくなってきてない?



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