第2話過去の記憶

 あの少女と別れた後、すぐ家に帰りシャワーを浴びベットに入ると疲れていたのかすぐ寝ることができた。


 ――何もない真っ白な空間


「なんだここは?」


 以前来たことがあるような気がしたが、どれだけ記憶を辿っても心当たりがない。

 突然真っ白な空間が暗転し、現れたのは荒れている町である無法地帯スラムだった。


「なんでここに…?」


 そんなことを考えていたら奥から子供が走ってきた。


「ハァ…ハァ……ここまで来れば大丈夫かな」

「おい」

「うわぁ⁉︎びっくりした。…なんだカイトか」

「大声出すな。バレるだろ」

「ごめん」

「まあいい。それよりも食料は手に入ったか?」

「うん。ほらここに」

「おお!結構たくさん手に入ったな」

「でしょ!」

「ああこれなら当分持つな!」


「おい!こっちにいたぞ!」


 そんな声が聞こえた。


「やば!逃げるぞカナタ」

「分かった!あっ…」


 ボトッ


 持っていたりんごが落ちた。


「どうした?」

「りんごが…」

「そんなのほっとけ!」

「でも…」


 カナタが葛藤していると


「やっと見つけたぞ!逃げやがって」


 カナタが男に見つかった。


「あ…」

「クソッ!」


 ドンッ


 カイトがカナタを庇い


「え……?」

「逃げろ!後ろを振り返るな!」


 カナタは少し躊躇ったあと覚悟を決め、後ろを振り返らずただがむしゃらに走った。

 どんどんこちらに迫ってき、カナタ彼方の横を過ぎ去っていった。

 また、世界が暗転し始めた。

 暗転する寸前、カイトが何か言ったようだが彼方にはわからなかった。


 ――バッ!


「今更こんな夢を見るとはな…とりあえず学校の準備をするか」


 準備を終え学校へ向かった。

 教室に入るなり俺は椅子に座り机にうつ伏せになった。

 そう寝たふりである。

 ではないが俺はぼっちではない。決してぼっちではない。

 ではなぜ寝たふりをしているのかというと…………

 話す人がいないのである。

 いやぼっちやないかーいってそれは決して違ういつも話してる友達が来ていないだけである。

 そんなことを言っていたらちょうど来たようだ。


「よっ!」


 軽快な挨拶をしてきたのは俺の唯一の友達である佐々木彰人ささきあきとである。


「おはよう」


 俺も挨拶をした。

 彰人と談笑していると、ドアが開かれた。

 開かれたドアに注目が集まった。


「お!きたな。女神様が」

「そうだな」


 女神様と呼ばれているのは、白石渚しらいしなぎさである。

 女神様と呼ばれてるくらいなので、そこらにいるアイドルや女優並の容姿をしている。

 それに加え、成績優秀、スポーツ万能とまさに文武両道。

 さらに性格がとても良いから男女共々から大人気である。

 もちろん告白もたくさんされているが、全て断っているらしい。


「そういえば、野球部エースの加藤が女神様に告白したらしいが振られたって噂だぜ」

「へーあのイケメンでもダメなのか」

「誰ならいけるんだろうな!」

「さあな」

「ちなみに、彼方はどうなんだ?」

「何が?」

「女神様のことどう思ってるんだ?」

「どうも思ってないよ。そもそも住む次元が違うし見てるだけで十分だ」

「まぁお前はそういうやつだしな!」


 とガハガハ笑っている彰人をよそにちらっと女神様白石さんを見たら、なぜか目が合ったような気がした。

 多分気のせいだと思う。

 俺を見ているわけがない。

 俺を見る理由がないしな。


♦︎


 お昼休みになり、俺はいつもの屋上に来ていた。

 屋上は封鎖されているが、鍵が壊れていて普通に入ることができるのでお昼はいつも屋上でご飯を食べている。

 ちなみに彰人だが、友達とご飯を食いに行った。

 俺以外にも友達がいるようで羨m――ゴホン楽しんでいるようで何よりだ。

 屋上で気持ちの良い風に当たっていたら突然ドアが開いた。


「ん?」


 気になって覗いてみたら、まさかの女神様がご降臨なさっていた。

 いやなんで?



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