第10話 爆裂ッ!
余計なことも思い出したが、俺が強くなってたのは単純にレベルが上がったから。ということで話は着いた。
「オーガについてまだよくわからないっていう人はいたりしますか?」
コメント
:特になし
:それよりも他のモンスターと戦ってるところ見てみたい
:可愛いなら、OKです!
:一回解説無しで本気でモンスターと戦ってほしい
:魔法使えますか?
:羽瑠ちゃんが光とか闇属性の魔法使ったらただでさえやばい魔法なのに更にチート化しそう
:羽瑠ちゃん前の配信見る限りかなり魔力自体の扱い上手かったし魔法もかなり凄そう
コメントは早く他のモンスターと戦ってほしいという意見でいっぱいになった。……本気で戦ってほしいか。難しいことを言う。基礎的な身体能力が底上げされた上に魔法なんて便利なものを覚えてしまったからな。下層でもほとんどのモンスターは苦労せず倒せるぐらい強くなってしまったし。
本気でやらないといけないとしたら深層以降のモンスターとかボスモンスター、あとはイレギュラーぐらいだろうか?ボスモンスターに挑むところまで今日の配信で行けるかな。
「じゃあ、次のモンスターは魔法で倒しますね私は全属性魔法適性あるので見たい魔法とかあったらいってください。次の配信で見せられるよう練習しておきます」
:は?
:は?
:??????
:全属性魔法適性とは
:毎日配信するって言ってるのに次の配信で見せる?なにいってんだ?
:魔法ってそんな簡単に習得できるもんだっけ?
:習得速度意味わかんなくて草
:そういうユニーク?
:レベルとか魔法の習得速度が上がりやすくなる的な?
ユニークスキルについて言うつもりは無いので全部無視。
「お、新しいモンスター出ましたね。次は、メタルスライムですか」
眼の前には銀色をした液体が意志を持ってこちらに向かってくるスライムが。
:メタルスライムなぁ
:魔法で倒すっていってたけど大丈夫?こいつ液体のくせしてめちゃめちゃ硬いし魔法も効きづらいぞ
:その上液体だからって理由で切ってもくっついて再生してくるクソモンスぶり
「このモンスター倒しても特にいい素材落とさないんですよね。成人してないからどっちにしろ素材を持って帰るわけには行かないんですけど」
:大丈夫。スパチャ開放されたら俺たちが財布になるから
:そういえば学生とかは素材の換金できないんだよな
:素材の換金をできるようにしたら金目当ての知識ないガキとか親の虐待でダンジョンで金稼ぎさせることも起こるだろうからなぁ
:まず羽瑠ちゃんとかの年齢で下層潜れるほうが少数だからその少数のためにほか大多数を見殺しにするわけにはいかんよねってことよね
このモンスター自体に特に危険なところはない。攻撃は硬化して体当たりするぐらいだし倒すの面倒なくせに倒しても旨味がないんだから。下層で活動する冒険者のほとんどが素通りするクソモンス。スライム系モンスターにかならずある核もしっかり中心部固めて攻撃通らないようにしてるから核1点狙いでは倒せない。
まあ、討伐するといったのだからちゃんとやるのだがどうやって倒したものだろうか。
「……そういえばメタルスライムの再生ってどれくらいが限界なんですかね」
ふと、思ったことを言ってみる。メタルスライムの討伐にはテンプレがあり、それは体が金属であることを利用して鉄が溶ける温度で再生しなくなるまで炙ることなのだが他の人がやってることをパクってもパッとしない。それなら爆発で上に打ち上げて「汚え花火だ」っていうほうが配信映えする。
:誰も検証してないからわかんないわ
:炎帝が3000℃で燃やして溶け切るまでに十分くらいかかったんだっけ?
:耐久力きもくて草
:羽瑠ちゃんどうやって倒すの?
「メタルスライムって爆発系の魔法で倒そうとすると爆発して弾き飛んだ体のかけらがまたくっつきに行こうとするじゃないですか」
:せやね
:それがどうしたん?
「いや、燃やすだけだと華がないなと思って。でも多分分裂四散した欠片にある再生能力がなくなれば動けなくなりますよね。新しく体を作り出した事例は今までなかったらしいので動かなくなるまで爆発させればいいかなって」
:華がないは草
:いや、それができたら誰も苦労せんのよ
:頭まで可愛くなっちゃったか
:理屈的にはできなくはないよ?でも爆発系魔法の魔力消費量が多すぎて再生機能無くなる前に魔力切れ起こすんよ
どうやらまだやったことがある人はいないみたいだ。なら結構衝撃的な映像が見せられるかもしれない。
「外界遮断結界」
俺はその場でメタルスライムが遠くに飛ばないように閉じ込める結界魔法を使った。ちなみにこの魔法は無属性魔法だ。
:すげ無属性魔法だ
:使えるやつほとんどいないやつやん
:詠唱もしてなかったし魔法展開早すぎだろ
:結界魔法ってかなり上位の魔法だったよなどうやって習得難易度も高いしどうやって使えるようになったんだ
:結界魔法はどこでも需要あるからなぁ
:ここからどうすんの?
「
結界魔法の中で爆発音とともにメタルスライムが爆ぜる。
「爆裂」「爆裂」「爆裂」「爆裂」「爆裂」「爆裂」「爆裂」「爆裂」「爆裂」……
結界の中で何度も何度もメタルスライムが弾け飛んだ。弾け飛んだ体を更に爆発で小さくしていく。結界魔法で隔てているためこちらに爆風が来たりはしない。こちらから一方的に攻撃する。
あいにく俺はほとんど魔力切れしない。再生しなくなるまで飛ばしてやるよ。
:やっっっっっっっっば
:魔法の複数使用とか言う離れ業
:爆発魔法の音エッグぅ
:なんで魔力切れしないんでしょうね
:有識者がちゃんと加工じゃないって発言してなかったら誰も信じないだろ。何だよこれ
:何もさせてもらえないメタルスライムくん可哀想
爆発を数百回繰り返したとこでポツポツと地面に転がり動かなくなっている欠片を見つける。いいね。この調子ならすぐに討伐できそうだ。配信はテンポが大事だからな。
みるみる内に動かなくなったメタルスライムの残骸は増えていき、やがて爆発音が止む。
「核周辺は固くてさっきの魔法じゃ壊せないみたいですね。まあもっと強い魔法使うだけなんですけど」
俺は容赦なく爆裂の上位互換魔法である魔法を発動する。
「エク◯パルソッ゙!!!」
実際はこんな名前じゃない。言いたかっただけだ。……だが先程よりも威力のある爆発魔法によりメタルスライムは核ごと砕け散った。
:知らない魔法だ……
:逆に見たことありまくりなのでは?
「はい。これで討伐完了です。魔法を使うと一人ひとりの適正の問題もあるし、多分魔法の解説はできないので危険なとき以外は魔法は封印したほうがいいかもしれないですね」
派手だしレパートリーには困っていないが解説を主にやる配信というスタンスを考えると武器による近接戦闘も行っていきたい。
:もう自由にして
:やってることに”十二歳が”って言葉を入れるだけで混沌と化す配信
:魔法もっと見たい
:質問です!どうやったら2つの魔術を一気に使えるようになりますか?
「魔法の同時発動のやり方ですか……。えと、こうやりたい魔術を頭の中にイメージして」
:聞きたかったやつ
:ほむほむ
:うんうん
:それで?
「体の中で魔力がぶわ〜〜〜ってなるじゃないですか」
:ん?
:どうした?
「そしたら体の中にためて魔法を貯蓄する感覚で収めて、」
:魔法の貯蓄……?
:何いってんだ
「もう一つの使いたい魔法を同じ方法で体内にためてあとは使いたい瞬間にいっきにだすみたいなかんじですね」
:魔法のことをうんこみたいに言わないでくれ
:なるほどわからん
……いや俺の方こそ知るか。ユニークスキルだか、魔法適性:大賢者だか知らないができるもんはできるのだ。
こうやって最初の方に強いアピールができれば顔面だけで流行った新参というレッテルは貼られなくて済む。もしかしたら期待の新人とか言われるかもなぁ。SNSは最初のイメージが大事なのだ。できればもっと世間一般から強いと言われるモンスターと戦いたい。
段々と視聴者が俺の配信スタイルに慣れてきているのが分かる。明らかに最初と違って顔を見るためだけに来た視聴者とは違う層の視聴者が増えているのが伺えた。
あれ?おかしい。コメントが荒れている。配信開始時よりも早く目で追う事ができない。俺はコメントを止めて読んでみると有名人が俺の配信に来ているようだ。
:Σ(゚Д゚)ラオ様来てる!!
:ふぁ!?なんで炎帝ここにいるんだよwww
:……これマジ?
:とんでもないことになってまいりますた
ラオ様。ここに来るまでにも度々話に出ていた超大手冒険者ギルド炎龍の羽衣の現ギルドマスター。炎帝の支配者とも呼べれており名前の通り火属性の魔法が得意。端麗な容姿も相まってかなり人気な人物なのだが……なんでこんなところに?
:配信中にすまない。こういうものは配信外でやるのがルールなのはわかっているのだが、いかんせん君が想像以上に強くてね。他のバカどもに取られる前にこうやって私自ら誘いに来た。本題に入ろう。うちのギルドに入るには火属性の魔法に適性があることが条件なのだが火属性の魔法は派手でね。魔法の訓練なんてしようものなら色々なところに被害が出てしまうのだよ。メンバーも血気盛んな奴らばかりで参ってしまってね。そこで君だ。結界魔法が使える君なら周りに被害を出さずに魔法の訓練ができる。一週間に一回でもいい。君の結界魔法を使わせてくれないか?これが私の提案。だがこのままだと君にあまりにもメリットがないだろう?だからこちらも条件を提示する。君の年齢的に正規雇用は出来ないからアルバイトという形を取らせてもらうがもちろんお金は弾ませてもらう。君はまだ成人には遠く収入を得られない。配信で収入を得ることは出来るだろうが安定した収入を得たいなら絶対に私のギルドに入ることをおすすめするよ。ダンジョン協会の規定から16歳からギルドに入ることが認められている。君がこの話を受けてくれるなら君が16歳になった時にうちのギルドの正規団員として雇おう。私自身君の力に興味があってね。あくまで結界魔法はついでみたいなものなんだ。いつやるのかの予定の融通ぐらいいくらでもするしそちらとしても悪くない条件だと思うんだよね。じゃあ返事を待っているよ。ラオ・クレオス
なるほどな。つまり、スカウトか。今のうちに有望な人材を引き抜いておこうという魂胆だろう。
……それにしても流石は超大手というところか。まず、炎龍の羽衣はAランクダンジョンの管理を任されていたはずだ。練習がどうとか言っていたがそのダンジョンで一般人が居ないうちに訓練をすればいい。
知識のない子供と油断しているのか本当に俺自身に興味があるのかは分からない。だが、ギルドに入るというのは確かに俺にとってもメリットのあるものだった。
俺はコメントを固定し、視聴者、そしてラオ・クレオスに伝わるように全世界にその言葉を発する
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