後日談その2(第82話)
side
夏休みに入り、
優斗への恋心はまだあるし、
私は元々社交的でなく学校の中で仲良くするくらいのクラスメイトはいたものの、一度学校やクラスを離れると友人と呼べるほど親しい相手はいないのが実情で、つい最近までまではそれで良いと思っていた。
高校へ進学し優斗と仲を深めていった流れでその幼馴染み達とも交流が生まれて、優斗と同様にウマがあい、この先も付き合っていきたいと思っていて優斗と男女の仲にならなくても将来も良い関係を築いていけそうに感じている。
また、世界が広がりだすと気持ちが水平展開していくようで、高校でも何人か学校の外でも付き合っていきたいと思える関係を築き始めていて、自分でも考えが変わった自分に驚いている。
「陽希、中学の時から思っていたけどプロポーション良いよね」
「そういう
「ですよね!
わたしもずっとそう思って言っているのですけど、否定するんですよ」
「またりーちゃんは・・・りーちゃんこそ可愛いのにあたしなんか持ち上げて」
「朱音さん、まだそんな自分を下げる様なことを言っているのですか?」
「めーちゃんもか・・・」
「私が思うに梨衣子や
「ほら、朱音ちゃん。これで意見は3対1だし自分のことを認めてあげてよ」
「うーん、わかったよ・・・」
「あれ?陽希ちゃん?」
更衣室でじゃれ合いながら着替えていたら声を掛けられたので、そちらを向くと高校で一番お世話になっている先輩がいらっしゃった。
「先輩も遊びにいらしてたのですか?
奇遇ですね」
「うん。せっかくの夏休みだし、いくら受験生だからってたまには遊んで気分転換をしようって妹たちが誘ってくれてね」
「妹さんたちって事はお話に聞いていた幼馴染みさん達もご一緒ですか?」
「うん、あそこに居る3人がそう。あと、男の子がひとり来てるの」
先輩が指差した先にはキリッとした理知的そうなお姉さんっぽい女の子といかにも妹って感じの女の子がふたりが着替えていた。
「そうなのですね。私はこの中学の後輩達と来ていて、あとこの
梨衣子の肩を掴んで先輩に説明をする。
「陽希ちゃんの後輩ちゃん達は可愛いのね」
「なにをおっしゃるのですか?
先輩の妹さん達も可愛いじゃないですか」
「あら、ありがとう」
先輩と話していて思い出したので梨衣子達に紹介することにした。
「みんな、この方が例の受験対策ノートを作ってくださってる先輩だ。
ここで会えたのも良いきっかけだしお礼を言ってくれないか?」
「お噂はかねがね伺っています。ノートのお陰で勉強が捗っています。ありがとうございます」
「私もノートを使わせていただいています。ありがとうございます」
梨衣子と朱音がそれぞれお礼を口にして頭を下げた。
「私はまだ2年生ですが、来年には使わせていただこうと思っています。よろしくお願いします」
芽衣子もふたりに続いた。
「いいのよ。妹たちのために作ったものだけど、活用してくれるのは嬉しいよ。
みんなが入学する時には卒業しちゃっているけど、後輩になってくれること楽しみにしてるね。
・・・っと、妹たちを待たせちゃうから私は行くね。じゃあ陽希ちゃん、またね」
「はい、またよろしくお願いします」
先輩はにこやかな笑顔で挨拶をすると妹さんたちと合流して一足先にプールへ向かっていった。
「ねぇ陽希」
「なに朱音?」
「陽希の先輩さん、思っていたより小さくて可愛らしい人でした」
「うん、初めて会った時は同級生かと思ったし、今でも可愛らしい人だと思ってるよ。
でも見た目がどうでも優しいし、学校と関係なく将来も付き合いたいと考えてる」
「たしかに、将来も付き合いたい感じの雰囲気の方でしたね」
「でしょう。だから、卒業までにしっかり関係を作っておこうと思ってるんだ」
「がんばってくださいね」
「うん、ありがと」
私達も着替えを終えて優斗合流し、それから思いっきり遊んだ。
恋については芳しくなかったけど、わざわざ休みの日に遊べる友人ができたことは良かったと思う。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
◆後書き
後日談の小話2つ目を書かせていただきました。
事前にお知らせさせていただきました通りでこの先は書き溜めがありませんし、構想もない状態で、未来はわからないと思っていただければと思います。
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