後日談その1(第81話)
side
期末テストが終わり、夏休みの目前の弛緩した雰囲気の中で恋バナに興味津々の他のクラスの女子から声を掛けられる。
「ねぇねぇ、
「違うよ」
「ええぇ、4組の学級委員カップルでお似合いだと思うんだけど」
「そう見てもらえるのは嬉しいけどさ、事実じゃないから・・・」
修学旅行の前にもたまに聞かれていたけど、修学旅行が終わってからは頻度が増えている。
主に原因はあたしが優斗くんとふたりで行動していたことを何人にも目撃されていたかららしい。
それならりーちゃんだって優斗くんとふたりで行動していたのだからその噂が出てきても良いと思うけど、その噂は出てこない。
優斗くんにその話をすると、りーちゃんとはシカを見に行っていたために、同じ場所へ行っていた生徒はシカに注目していてりーちゃんとのふたりきりの行動を意識して見ていた人がいなかったのではないかという推測をしていた。
また、りーちゃんにその話をしたら『やっぱり、朱音ちゃんの方がゆうくんに相応しいって見られるのかな・・・』と落ち込ませてしまったので深くは話せなかった。
もちろん長年好きだった優斗くんとお似合いと言われることには悪い気はしないけど、偽情報が出回るのはりーちゃんに悪いし、誤解を招いて関係を壊すようなことはしたくない。
「そういうことで、ふたりに相談をさせてもらいたいのです」
「朱音、いい子だね」
「ほんとです。朱音さんのそういうところはお姉ちゃん以上に尊敬します」
「
最近になって陽希とあたしは呼び捨てにしあう様になった。
あたし達幼馴染みと違ってつい最近仲良くなったばかりなので、心の距離を近付けるためにお互い敬称を付けずに名前で呼び合おうと陽希が言ってきて・・・先輩を呼び捨てにする心理的な抵抗感はあったものの本気さが伝わってきたので・・・呼び捨てで呼び合う様になった。
りーちゃんとめーちゃんも陽希の意を理解して呼び捨てにするように努力はしているけど、あたしほどはスムーズにいっていなくて陽希に『違うよ。陽希でしょ』とたびたび言われている。
「それなら、朱音が優斗と梨衣子が付き合っていることを言ってしまったらどう?」
「それも考えたのですけど、幼馴染みの事とはいえ勝手に言うのは駄目かなって思うのですよね」
「朱音さんの言うことはわかりますけど、悪いことじゃないですし、陽希・・・の言うように言ってしまっても良いのではないですか?
私も一緒に言ってもいいですよ」
「そうかなぁ・・・
それは一旦置いてさ、めーちゃん」
「なんですか、朱音さん?」
「陽希は呼び捨てなのにあたしが『さん』付けなの違和感ない?」
「そう言われると違和感がないわけではないですけど、今更ではないですか?
それに、朱音さんだって『めーちゃん』呼びですよ」
「たしかに・・・」
「ふふっ、私が朱音と芽衣子に近付いてるってことね」
「陽希さん!?」
「芽衣子、違うよ。陽希でしょ」
「陽希・・・です。
でも、それは違いますよ。
私と朱音さんは6年の付き合いで関係だって深いんです。
朱音さんの好きな物だって嫌いな物だってたくさん知ってるんですから」
「でもさ、めーいこ・・・陽希にこう言われるのは悔しくない?」
「ですね。朱音さ・・・朱音」
「ふふっ」
「あははっ」
「じゃあ、あたしは今から芽衣子って呼ぶね」
「はい、私も朱音と呼ばせてもらいます」
そんな話をしていたら、りーちゃんのことをどうするのかは結論が出なかった。
そして、あたし達の呼び方はあたしが陽希と呼ぶ以外は定着せず、以前からの呼び方や陽希先輩呼びに戻ってしまったし、陽希もしょうがないと諦めてしまったので定着した。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
◆後書き
後日談の小話を書かせていただきました。
本編の後書きで書かせていただきました様に優斗と梨衣子が付き合うところで1部の完結として、その後に優斗と他のヒロインを関係を深めたり、優斗と梨衣子との関係に危機が生じて他のヒロインも絡めて物語を発展させたり、ヒロインの新しい恋人候補を登場させてなどと考えておりましたが、現時点ではその先を執筆する予定はございません。
ですが、幼馴染みヒロインズが仲良くなっていくところとかはもう少し書きたかったので書かせていただきました。
また、思い付いたら書かせていただくかもしれませんので、よろしければフォローをしたままお待ちいただければと思います。
追伸。【防カメ】も少しずつ書いておりますので、こちらもお付き合いをいただけますとありがたいです。
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