第69話
side
ゆうくんがわたしと
いざその時が来るかと思ったら
そんな状況だったので自分がどうすれば良いのかわからなくなっていた・・・たしかに、今のままだったらゆうくんに告白をして取り下げていないのはわたしと岩崎先輩だけで、更に言えば岩崎先輩はあくまで気持ちを伝えただけでゆうくんからの返答を求めていない。
何も言わなければゆうくんが私を選んでくれるかもしれないという考えも浮かんだけれど、わたしがズルをしようとしてゆうくんを始め朱音ちゃんや芽衣子も引っ掻き回したんだし、この場でゆうくんと恋人同士になっても一生引け目を感じ続けることになってしまうような気がした・・・
「あのさ、ゆうくん。わたしも告白を一回取り下げさせてもらえないかな?
わたしはゆうくんのことが誰よりも好きだけれど、それと同じくらいに朱音ちゃんの事が大事だし、芽衣子も掛け替えのない妹なんだ。
だから、ふたりに誇れない状態ではゆうくんと恋人同士になりたくないって思ったの」
「お姉ちゃん!?」
「芽衣子、ありがとう。
だからさ、芽衣子や朱音ちゃんと同じように自分の中で折り合いを付けて胸を張ってちゃんとゆうくんのことが好きだと言って言えるようになるまでは保留にさせて欲しい。
その間にゆうくんが岩崎先輩や朱音ちゃんや芽衣子やあるいは塾で同じ女の子やそれ以外の
だからお願い、今だけは時間をちょうだい」
わたしは言いたいことを言ってゆうくんに頭を下げてしばらくそのままの姿勢で待った。
「梨衣子、頭を上げて。
梨衣子の気持ちはわかった。それに
「ゆうくん、ありがとう。
今は気持ちの整理をしたいから別々で帰るね・・・芽衣子はどうする?」
「私も今は
「うん、わかった。ふたりとも今日はここで別れよう。まだ明るいけど、気を付けて帰ってね」
それからわたしと芽衣子はゆうくんと別れてふたりで一緒に帰ったけど、わたし達姉妹としては珍しくお互いに何も言葉を発さずにいた。
家の前に着き、芽衣子が鍵を出そうとしたところで声を掛けた。
「芽衣子、ありがとね。それと、ごめん。お姉ちゃんが馬鹿だった」
「そんなことないよ。むしろ私こそごめん。お姉ちゃんを追い詰めてたと思う」
「ううん、わたしが馬鹿だから勝手に自爆してたんだよ」
「そんなことは・・・お姉ちゃんは納得しないと思うけど、私にとって大事なお姉ちゃんだし、やろうとしていることが間違っていたんだから、ちゃんとそれ指摘して止めるべきだったのに優斗さんを馬鹿にされているようで腹が立ってそのまま黙っていてやらせたし、優斗さんからお姉ちゃんへの気持ちが薄らいでいるのを知ってて告白させたんだから、私のほうが余程ひどい馬鹿な妹だったよ」
「それだって、最初がわたしだし・・・」
「もういいよ。このまま言っててしょうがないし、家に入ったらこれ以上は言わないことにしよ」
「わかった」
やはり芽衣子は良い妹だと再認識したし、そんな芽衣子に誇れる姉でありたいと改めて思った。
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