第68話
side
それを見ていて私も自分の中にあった
優斗さんのことは好きだけれど、それはお姉ちゃんを
決定的になる前に気付かせてくれた朱音さんには感謝しないといけない。私も朱音さんに続こうと思う。
「優斗さん、私からもいいですか?」
「もちろんいいよ」
「私も優斗さんからお姉ちゃんへの気持ちが変わったことを聞いて、それで朱音さんとウラで相談してお姉ちゃんを巻き込む形で一緒に告白しました。
お姉ちゃんは私と朱音さんの作った空気に付き沿う様に一緒に告白をしないといけないような同調圧力があったと思います。
そんなお姉ちゃんを追い込むような状況で告白させたのはフェアじゃなかったです。
なので、今の私には優斗さんの恋人になる資格がないと思いますので、告白は一度取り消して資格を得たと思える時にもう一度やり直しさせてください!」
優斗さんの顔を見るのも怖くて深々と頭を下げたまま留まっていたら、優斗さんが私に近寄って来た。
「芽衣子ちゃん、ありがとう。そして、謝らないで。全部僕が悪かったんだ。
第一、最初に梨衣子から大井先輩へチョコを渡そうと思うと相談された時に梨衣子から嫌われたくなくて橋渡しを買って出たのも良くなかったと思うよ。僕は大井先輩の横暴な性格を知っていたから梨衣子に嫌われる事になったとしても止めるべきだったと思うし、今でもあの時に日和ってしまって流されるように楽な方へ逃げた事を後悔しているし、本心から僕が悪かったと思ってる」
「そんなことはっ!」
「ううん。そうなんだよ。そもそも『3年になって最後の大会で活躍ができたら告白しよう』なんて自分の気持ちしか考えないで問題の先送りをして梨衣子を不安にさせていたことが問題だったんだよ。
それはそれとして芽衣子ちゃんの気持ちは嬉しかったよ、ありがとう」
気が付いたら涙が流れていた。
「ぐずっ、朱音さんじゃないですけど、私だって心の準備ができたらお姉ちゃんでも朱音さんでも
「わかった。その時はちゃんと答えを言わせてもらうね」
やっぱり優斗さんは優しい人だ・・・私を傷付けないように言葉を選んでくれている。
「ありがとうございます、優斗さん。
・・・それと、岩崎先輩」
「え?私?」
急に呼び掛けた岩崎先輩が驚かれたように返事をしてくれた。
「恐らくですけど、朱音さんはギリギリまで迷っていて岩崎先輩の告白を見ていて決心したのだと思います。
そして、私もその朱音さんを見て間違えたまま前へ進まずにすみました。ありがとうございます」
今度は岩崎先輩へ向かって頭を下げて感謝の気持ちを表した。
「ええと、
私は自分が言いたかったことを言わせてもらっただけで、
だから私への感謝なんて要らないわよ」
「それでも言わせてください。ありがとうございました」
どんな思惑があったにしても岩崎先輩のおかげには違いないと思うので、改めて最大限の感謝の気持ちを伝えさせてもらった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます