第65話
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修学旅行は3日目も最終日の帰りまでも問題なく進行し、あとは帰りの新幹線に乗り込んで東京へ戻るだけとなっていた。
もう既に答えを決めていてあとは伝えるだけとは言え異様な緊張感があって疲れているはずなのに眠気が襲ってこない。周囲を見渡すと多くの生徒たちが寝ているし、僕の班の友人たちも寝てしまっているので話し相手がいない・・・もしかすると朱音さんや梨衣子は起きているのかもしれないけど、わざわざ様子を見に行って起きているからと話しかける勇気は今の僕にはない。
スマホで何か暇つぶしができないかとアプリを起動してみるものの先生の目があるのでゲームをする訳にはいかないし、電子書籍アプリで本を読もうにも気分が落ち着かないせいか目が泳いでしまって文字が頭に入ってこないので諦めて景色を眺めることにした。
往きでは話をしたりしていてゆっくり風景を見ていなかったけど、流れる外観から新幹線の速さを感じ取れる・・・
・・・緊張して寝られないと思っていたけど、皮肉にも寝られないと諦めたことが功を奏したのかいつの間にか寝てしまい、せっかくだからと見ようと思っていた接近した富士山を見ることもなく東京へ戻っていて、もうすぐ到着すると起こされた時には山手線と並走する風景が見える状況だった。
「それじゃあ、予定通りこのまま学校へ向かおうか。
その電車に乗ったら芽衣子ちゃんへLINEメッセージを送って待っていてもらおう」
「わかった。芽衣子にはわたしからメッセージを送るね」
「じゃあ、連絡は梨衣子に任せるね」
新幹線のホームで担任の
「お姉ちゃん、優斗さん、朱音さんおかえりなさい」
学校へ着き、春休みに告白された裏庭に移動すると既に芽衣子ちゃんが待っていた。
「芽衣子ちゃん、ただいま。
こんなところで待っててくれたの?
どこか室内で待っててくれれば良かったのに・・・」
「大したことないですよ。連絡をもらって逆算して少し早めに来たくらいですから10分も待ってないです。
それに答えをくれるってことでそわそわして落ち着かなかったのでむしろちょうど良かったです」
「・・・それなら良かったけど・・・じゃあ、早速だけど良いかな?」
「ちょっと待って、ゆうくん。
荷物くらい置かない?」
「たしかにりーちゃんの言う通り、荷物は置きたいな」
「ごめん、ふたりとも。気が
芽衣子ちゃんは手ブラだったからそのままだけど、僕ら修学旅行帰りの3人はすぐ側にあるベンチへ荷物をおいて仕切り直した。
「それじゃあ・・・」
「ちょっと待って!」
春休みに告白されたときと同じ様な立ち位置で向かい合っていよいよ答えを言おうと思ったら呼び止める声を掛けられた。
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