第64話
side
修学旅行中のたゆからLINEのメッセージが届いた。
幼馴染みの
すでに予告されていたことでそれがいつになるのかだけという状況ではあったものの、とうとうその時が来たという思いと、ダメでもなんでもいいから結論が出てしまう前に自分の中で急速に育っているたゆへの想いを伝えて玉砕しておきたいという気持ちが強くなった。
話を戻して、告白への返事は同時に告白した初芝さん達3人同時に行うということで、少なくとも初芝さんの妹さんがこちらに残っているから、修学旅行が終わってたゆたちがこちらへ戻ってきてからになることが確かなので、まだチャンスはある・・・そういう意味では助かったと思う。
修学旅行中なのでそんなに何度もやり取りできないだろうと単刀直入に『いつ返事をするつもりなの?』と送ったら『タイミングさえ合えば東京へ戻った日にでもしようと思っています』という返ってきた。
『そう、頑張ってね』なんて送り返したものの気が気ではない。去年の私の時と同じだとしたら新幹線に乗り名古屋を出てからクラスごとにショートホームルームの様なちょっとした最終点呼と連絡事項の伝達が行われ、それが終わったら実質修学旅行は終了となり、東京駅で新幹線を降りつつ各クラスの担任の先生が生徒が降りたことを確認したら適宜解散で各自が家へ帰っていく流れになっているはず。
同じ学区内でも必ずしも全員が同じ路線を使う状況でもなく東京駅からJRと東京メトロで別れるはずなので、このやり方は変わっていないと思う。
これは最終日にたゆの家からの駅まで行って待ち伏せでもしないと間に合わないような気がする。
翌日になって・・・覚悟を決めたつもりでも『やっぱり言わないで見送った方が良いのではないか?』という逃げる気持ちが湧いてきて気持ちはずっと落ち着かなくて、学校でも珍しく先生から指名されたのに1回で反応せずに呆けてしまっていて注意されてしまったりもしたし、体育のバレーボールではボールを顔に強打してしまって保健室へ運び込まれてしまった。
「
なんか朝からずっと注意力が霧散している感じだよ」
「ごめんごめん。ちょっと悩みがあって考え込んでしまって・・・でも、すぐに吹っ切るから」
クラスの友達たちも心配して声を掛けてくれる。
「なに言ってるの?
すぐ吹っ切れるならそんな注意力散漫になるようなことはないよ。
もしそう思っているのだとしたら岩崎さんが思っている以上に深刻なことだと思うよ」
「そうかな?」
「そうそう。岩崎さんみたいにいつもしっかりしている人がそんなになるくらいだもの余程のことだと思うよ」
「そうね、岩崎らしくないわね」
「やっぱりみんなもそう思う?」
周囲の友人たちがそれぞれ私の悩みが大きな物だと思うと言ってくれている・・・自分のことは自分が一番よくわかっているものだと思っていたけど、そうでもないようだ。
やっぱり、たゆへ告白するかどうかはちゃんと決めないとダメだということだろう・・・明日には帰ってくるし、今日中に気持ちをしっかり決めてブレずに行動しないといけないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます