第61話
side
修学旅行中の
内容は驚くべきことに
朱音さんがその連絡をくれた理由は、お姉ちゃんがクラスや班の垣根を超えて優斗さんとふたりきりで思い出づくりをしていて専念してもらいたいからというのと、そのシチュエーションを作った朱音さんが単独行動になってしまって時間が空いていたから連絡役を買って出てくれたとのことだった。
朱音さんは学校では優斗さんと同じクラスで学級委員コンビになったし、そういう事もあってか優斗さんと付き合っているという噂話が聞こえるくらいに有利な状況なのに、お姉ちゃんや私に対しても配慮を欠かさないでいてくれる。
お姉ちゃんはバレンタインの時に大きな間違いを行ったからというのもあるけど、それを差し引いても客観的に比べたらたぶん朱音さんの方が魅力的な人だと思う。もちろん容姿や性格の好みや相性といった要素や、お互いに紡いできた関係性があるから絶対に朱音さんとはならないだろうし、それこそお姉ちゃんはバレンタインの前までなら関係性では絶対的な優位にあったけど、それをひっくり返した状態だから今はわからない。
でも、このタイミングで答えが出てきたということは恐らく私は選ばれない。
誰も選ばない可能性の方が高いように見えるけど、誰かを選ばれるのだとしたら朱音さんを選ぶ様に思うし、もしくはバレンタインの事を水に流してお姉ちゃんを選ぶのかもしれない。
いずれにしても私にとっては良くない答えのように思うけれど、元々お姉ちゃんとお似合いだと思っていてずっと応援していたのだから何も進んでいないし、僅かな期間だけど希望がもらえたとも思う。
しかし、その希望も潰えると残酷に思う。最初から手が届かないと諦めていた時はそんなものだと思って見ていられたのに、今は振られる恐怖心が襲いかかってくる・・・よくよく考えれば、バレンタインの時にお姉ちゃんが馬鹿なことをするのを止めて、ちゃんと告白するように説得してたらこんな事にならなかったと思うと今のこの状況は自業自得とも言える・・・自業自得なのはお姉ちゃんだけではなかったんだ・・・
そういう意味では3人同時に答えをもらえる状況は救いでもある様に思う。優斗さんに振られてひとりでいるのはつらいけど、少なくともお姉ちゃんか朱音さんも同時振られるしお互いに支えあえる・・・そう思って朱音さんへは『私も3人同時で問題ないと伝えて欲しい』ということと『優斗さんのことは別にして修学旅行を楽しんできて欲しい』とメッセージを送り返した。
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