第51話

side 優斗ゆうと


3年に進級して朱音あかねさんと同じクラスになり、同じ委員会になろうという申し合わせからの流れで学級委員になった。

委員会決めの時、僕としては2年連続で担任になった豊田とよた先生が最初に決める学級委員のところでサッカー部の活動停止で部活を行わなくなっていることや性格を理由に僕を推薦してくれた流れで男子の委員が僕に決まり、その僕が朱音さんが気心の知れた相手でやりやすいのでと言ったところ反対もなくそのまま二人揃って学級委員に就任した。


朱音さんは最初に戸惑った様子を見せたけれど、そもそも僕と同じ委員会をと希望していたのですぐに気持ちを切り替えたようで、豊田先生からバトンを受け取って他の委員を決める時から書記として委員会名と立候補した人を次々に書いていってくれた。

前から知っていたことではあるけど、朱音さんは要領がよくて、今もコンビでホームルームを進めていくと僕が言い忘れてしまったことなどフォローしてくれるので非常にやりやすいパートナーだと思う。


それに今まで意識していなかったけど、僕への好意を知ったからか一挙手一投足が可愛く見える・・・今まで梨衣子りいこだけを見て誤解されないようにと一歩引いて見ていたけど、見方が変わっただけでこんなにも印象が変わるのかということで、朱音さんには心中を知られないように今まで通りを意識して振る舞っているけど内心ではけっこう戸惑っている。


そんな僕らの議事進行が良かったのか委員会決めはスムーズに終わりホームルームの時間が余ったので、本来なら別に時間を設けて後日行うはずだった新学年のガイダンスの一部を行えた。


「やっぱり松下まつした君に学級委員を引き受けてもらって良かったよ」


ホームルームが終わって豊田先生からお褒めの言葉をいただいた。


「いえ、僕だけじゃないですよ。曽根井そねいさんがしっかりフォローしてくれたからで、むしろ曽根井さんのおかげですよ」


「たしかに、そうかもな。曽根井さんもありがとう。これから1年よろしくお願いしますね。

 それにしても松下君と曽根井さんはずいぶん息が合っているけど付き合いは長いのかな?」


「はい。あたしと優斗くん・・・松下君は小学3年からの付き合いで3組の初芝梨衣子はつしばりいこちゃんとその1個下妹の芽衣子めいこちゃんの4人で仲が良い幼馴染みなんです」


「そうなのですね。先生にはそんな頃から付き合いのある友人がいないのでうらやましいです。

 先生は大学時代からの友人と付き合いが多くて、中学の頃なんかはもうよく覚えてないですね・・・なんて先生に友達が少ないことをバラしてしまいましたね、ふふっ。

 まぁ、それはさておき松下君と曽根井さんの息の合ったコンビネーションで先生を助けてくださいね」


「はい!」

「頑張ります」


豊田先生に息が合っていることを強調されているところに更に気恥ずかしい感情が掻き立てられた。

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