第48話

side 朱音あかね


長かったようで短かった春休みも終わって今日から新年度が始まる。

学年が変わって一番のイベントは何と言ってもクラス替え。特にりーちゃんや優斗ゆうと君と同じクラスになりたい。

そんな思いを胸に秘めて新クラスが発表されている掲示板を確認した。


りーちゃんは隣のクラスになってしまっていたけど、優斗君とは同じクラスだった。表情には出さないように気を付けつつ心の中では狂喜乱舞していた。



教室へ移動しながら早くも同じ委員会になれないかとか修学旅行で同じ班になって一緒に回れないかなどを考え始めていた。


教室へ入るとこれまでの小中学校8年間で同じクラスになったことがある顔もいたし優斗君以外ともそれなりに関係を作っていけそうな予感がした。


「おはよう、朱音さん。今年は同じクラスでよろしくね」


前を見ていたら意識してなかった方向から突然声を掛けられてびっくりした。

声の主はあたしが好きな優斗君で、先日の集団告白以来なので緊張するけどその時お願いした通り名前で呼んでくれているので嬉しい。


「こちらこそよろしく。

 同じクラスになるの、小学校以来だよね」


「そうだね。

 クラス数が多いからなかなか同じクラスにはならないよね。

 結局、中学3年間で僕と朱音さんと梨衣子りいこの幼馴染み3人で一緒になったのは今年の僕らだけだね」


「でも、りーちゃんも隣のクラスで体育なんかは合同になりそうだしまだ良かったと思うよ」


「たしかに・・・2年の間はフロアすら違ったから学校では本当に全然接点がなくなっていたもんね」


「そうそう。

 それで話を変えちゃうんだけどさ、少し気が早いけど委員会を同じのにしない?」


「それはいいんだけど、合わせようと思うと人気の委員会は選べなくなると思うけど良いの?」


「うん。優斗君と一緒に活動できた方が充実するから、不人気の美化委員とか新聞委員とかでも全然構わないよ」


「そう思ってもらえるのは嬉しいかな。

 たぶん去年と同じなら明日委員会を決めるホームルームがあるだろうし、どうしたいか考えておいて」


丁度そこまで話したところで、別の顔見知りの新クラスメイトが教室へ入ってきたので優斗君に断ってそちらへ向かった。



ともかく、優斗君に言った通り同じ委員会なら面倒な事が多くて不人気の委員会でも楽しく活動できると思うし、新学期から幸先が良くてワクワクする。

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