第44話
side
優斗さんにお願いして私達のための時間を作ってもらった。優斗さんは塾の春期講習の関係で時間が全然合わず、結局春休みが終わる直前になってしまった。
私とお姉ちゃんが居ることからうちへ来てくれると言ってくれたのだけど、後々のことを考えて学校へ来てもらう様にお願いをして了承してくれた。
学校へ入るので制服かジャージや部活のユニフォームなど学校指定の服装でないといけなかったのだけど、うちはお母さんがクリーニングに出してしまっていて姉妹揃ってジャージ姿なのはいただけない。
既に優斗さんに約束をしてもらっていた当日の朝になって気付いたので仕方がないけど、その姿で学校の待ち合わせた場所へ行く私は暗い気持ちだったし、お姉ちゃんも表情から同じ思いだろうと察することができた。
「ちょっと。りーちゃんもめーちゃんも、なんでジャージなの?」
さすがに告白の場にジャージ姿で現れた私達姉妹を見て朱音さんは困惑してしまっていた。
「それが、お母さんが新年度の始まりに合わせて制服をクリーニングに出してて・・・」
「ああ、そうよだね。あたしは予備があるけどりーちゃん達は1着だけだったよね」
お姉ちゃんが説明して私は首肯したら朱音さんは納得して呆れ半分の反応を示した。
「まぁ、それはしょうがないとしてもうすぐ優斗君が来るんだし、せめて表情だけでもちゃんとしないと。
ふたりともそんな暗い表情してたらそれだけで振られちゃうわよ」
程なくして、優斗さんが姿を見せた。
「大事な話って、何かな?」
優斗さんは私達のジャージ姿を見ても特に気にすることなく本題について尋ねてきた。
「まずは、呼び出しに応じてくれてありがとう。
来てもらったのはあたし達の気持ちを知ってもらいたかったからっなんだ」
いきなり本題について尋ねられたことで私が何を言えば良いのかと戸惑っている間に朱音さんが話を進めてくれた。
「
「うん」
「わかった。じゃあ、僕は余計なことを言わずに聞いているから準備ができたら言ってくれないかな」
優斗さんの返答を聞いた朱音さんはゆっくりと首を縦に振って心の準備をするような仕草をした。
「優斗君、あたしは優斗君ことがずっと好きで、恋人として付き合って欲しいと思っています」
朱音さんの言い方が『付き合って欲しい』ではなく気持ちを伝えるところで止まっているからか優斗さんはどう対応すれば良いのかと戸惑ってしまっている様子。
「優斗さん、私も優斗さんのことが小さい時からずっと好きでした。付き合って欲しいです!」
意を決して朱音さんが切り開いてくれた告白の流れに乗り後追いした。そして、私と朱音さんはお姉ちゃんを見て『次はお姉ちゃん(りーちゃん)の番だよ』と訴えた。
「ゆうくん、わたしも・・・ゆうくんの事がずっと好きだったの・・・『じゃあ、
わたしはゆうくんの気持ちを試そうとして大井先輩にバレンタインのチョコを渡したの・・・『ゆうくんが嫉妬してくれるかな?』とか『ゆうくんがわたしのことを取られたくないと不安に思って先に告白してくれるかな?』とか・・・
そんなズルいことを考えて・・・ごめんなさい・・・でも、ゆうくんが好きなのは本当です。付き合ってください」
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