第43話

side 朱音あかね


めーちゃんと申し合わせていたりーちゃんに時間を作ってもらって優斗君への告白をするという話をする日になった。

りーちゃんとめーちゃんとあたしの3人となると、あたしが初芝はつしばの家へ行くのが一番効率的になるのでいつもの様に初芝のお家へお邪魔した。


家へ上げてもらいりーちゃんの部屋であたしとめーちゃんでりーちゃんと向かい合うようにテーブルに着いた。

いつもだと四角のテーブルのりーちゃんの真正面にあたしで空いているどちらかの面にめーちゃんが座るのだけど、今日はあたしとめーちゃんが並んでいるのでりーちゃんも何事かと訝しんでいる。


「朱音ちゃん、それに芽衣子めいこも関係してるのよね?

 どういう話かな?」


「うんとね、あたしもめーちゃんも優斗君のことが好きなんだ」


「ええ!?」


めーちゃんもあたしの話に合わせて首肯してくれて、その様子を見ためーちゃんは驚きの声を上げた。


「そんなに驚くことかな?

 まぁ、いいや。それでね、あたし達は3年生になって受験の日々になるじゃない。その前にこの気持ちを優斗君に聞いてもらって、優斗君に意識してもらおうと思うんだ。

 もちろん、それであたし達の誰かが選ばれたら祝福するってことで」


「そんな・・・困るよ・・・」


「何が困るの?」


「最近ゆうくんとはすれ違ってばかりだし、たまに顔を合わせても避けられてる感じがして・・・昨日もなんだけど、偶然会えたのに全然話ができなくて・・・」


「それでタイミングを待つの?

 3年に上がったらクラス替えがあるし、新しいクラスメイトと新しい関係ができちゃうかもしれないじゃん」


「そうです。お姉ちゃんの都合なんか優斗さんも他の人も待ってくれません」


「でも・・・」


「じゃあ、りーちゃんは告白しないでいいよ。

 あたしとめーちゃんのふたりで告白してくる。

 それでどちらかが選ばれたら祝福してくれるよね?」


「ええぇ・・・朱音ちゃん、わたしの事を応援してくれてたんじゃないの?」


「応援してたよ。でも、それに甘えて大井おおい先輩にチョコを渡してトラブルが起きたじゃない。

 相談されてチョコを渡したらって言ったのはあたしだけど、本当にそんな事をするとはと思ったし・・・あたしは、そしてたぶんめーちゃんも、りーちゃんを応援したいって気持ちがどこかへ行っちゃったんだよ。

 それでも優斗君がりーちゃんを選ぶんだったらりーちゃんを応援するけど、もうりーちゃんに合わせて待つ気はないよ」


「朱音さんが言ってくれたように私も同じ思いです。

 お姉ちゃんが告白しなくても、私は朱音さんと一緒に告白しに行きます」


めーちゃんが言い終えたところで、あたしとめーちゃんがりーちゃんを見つめ、りーちゃんはあたしとめーちゃんを交互に見ておろおろしてとても長く感じる1分位の沈黙の後ひとこと・・・


「わたしも一緒に告白する」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る