第39話
side
ずっとお姉ちゃんが優斗さんの一番で私が入り込むのは難しいと思っていたし、優斗さんからお姉ちゃんの妹として大事にしてもらえるのならそれで良いとも思っていたのに、お姉ちゃんが告白されたいなんて欲を出し馬鹿なことをした結果として、優斗さんから諦められてしまったのは衝撃だった。
愛想を尽かして関わりたくないと思ったわけではなく、お姉ちゃんの気持ちが向かないという思いが生じたためとは言っていたけど、それにしてもこの優斗さんの心境の変化は大きな契機だと思う。
優斗さんのお姉ちゃんへの気持ちが変わったのなら今まで心に秘めていた気持ちを出しても良いのではないかと思うし、それならもうひとりの優斗さんへの想いを秘めているであろう
もちろん朱音さんに黙って抜け駆けした方がライバルに対して有利に動けるというのはあると思うけど、私にとっては朱音さんも大事な幼馴染みでもうひとりのお姉ちゃんだと思っているので、その関係を壊してまで抜け駆けをしたいとは思えなかったので、事前に話をすることにした。
そして、状況を説明しフェアに告白をしないかと持ちかけたら朱音さんも優斗さんの事が好きだと言うことでお姉ちゃんも交えて一緒に告白したらどうかという話になった。
「めーちゃんが打ち明けてくれたから言うけど、実は優斗君は卒業式の日に
「ええ?岩崎先輩とですか?」
「うん。りーちゃんと一緒に見ていたけど、りーちゃんも驚いていたし他にも近くで見ていた人達も驚いていたくらいには珍しい光景に見えたよ」
「ですよね。私もそんな光景を見たら驚いたと思います」
「在学中には接点がなかったと思うけど、岩崎先輩のお母さんから『たゆ』君って呼ばれていたから恐らく幼稚園の時に関わりがあったんだと思う」
「そうですね。私も今まで忘れていましたけど、優斗さんは幼稚園の頃に『たゆ』君と呼ばれていたそうですし、幼稚園の時の話だから当人同士は忘れていてもお母様が優斗さんを見て気付いて教えたのかもしれないですね」
「そうそれ。あたしも幼稚園で親しかった子に『たゆ』君と呼ばれていたって聞いた覚えがあったから幼稚園の繋がりを思ったの。
それでさ、めーちゃん。優斗君の幼稚園の時の親しかった女子とか覚えてない?」
「そうですね・・・私たち姉妹は保育園で別々だったので・・・優斗さんから聞いた名前だと『はるき』君という男の子くらいしか聞いた覚えがないです」
「『はるき』!?
それ、岩崎先輩の名前だよ!」
「そうなんですか?」
「そう!太陽の陽に希望の希で
「そういうことでしたか。でもそれなら辻褄が合いますね。
岩崎先輩と私達や優斗さんと違う小学校出身ですし、中学でも積極的に関わっていなかったから互いに同じ学校に通っていると認識してなくて、卒業式に参列したお母様が偶然優斗さんに気付いて岩崎先輩にその事実を知らせた・・・幼稚園の時に仲が良かった相手だから知らない人から見たら唐突に仲良くなった様に見えたという風に考えられますね」
「うん、あたしもそう思う・・・でもそうなると、あたしが3番目の幼馴染みだと思っていたけど、4番目になっちゃうね・・・」
「何を言っているんですか。朱音さんはお姉ちゃんと出会ってから6年、ほぼ同時に優斗さんとも出会っててそれからずっと一緒に居たじゃないないですか。岩崎先輩はほとんどが空白期間でせいぜい1年か2年の付き合いですよ」
「ありがとう、めーちゃん。そうだよね、一緒に居た時間では負けないよね」
「そうですよ!
先に会っていたかどうかなんて大したことないですよ。実際私は岩崎先輩より朱音さんの方がずっと強力なライバルだと思っていますよ」
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