第38話
side
修了式の直前に、めーちゃんから急がないけどりーちゃんには内緒で話したいことがあると連絡をもらっていて、春休みに入ってから時間が合わせられたのでめーちゃんに家まで来てもらって話すことになった。
「それで、話したいことって何かな?」
「それは・・・優斗さんと、あとお姉ちゃんのことです」
「だからりーちゃんには内緒なんだね。それで具体的にはどういったことかな?」
「はい、バレンタインからの一連の事件が落ち着いてから優斗さんがお姉ちゃんに対しての態度が変わっていた気がして優斗さんに尋ねたんです。
そうしたら、
「え?そんな劇的な変化があったの!?」
「はい、けっこう根深くて語り口は軽かったのですけど、話を聞いているだけでも気が重くなる雰囲気でした。
なので、恐らくお姉ちゃんと言えど・・・むしろ、お姉ちゃんだからこそ、このひっくり返った状況を元に戻すのは難しいと思います」
「たしかに優斗君がそんなことを軽々しくめーちゃんに言うはずないよね。
いくらめーちゃんから尋ねたからって、そういう話を聞かせた以上は相当気持ちが固まっていると思うね」
「そうですよね。私もそう思います。
そんな状況になったので、私は思い切って優斗さんに告白をしようと思っているのです」
「え?それでどうやって告白しようかという相談?」
「いえ、朱音さんも優斗さんの事がお好きですよね?
黙っててひとりだけ抜け駆けするのはフェアじゃないと思って朱音さんのお気持ちを伺って、もし朱音さんも優斗さんの事がお好きだったら一緒に告白しに行かないかというご相談です」
「あたしが?」
「はい、私の勘違いでなかったら朱音さんも優斗さんのことをお好きだろうと思っています」
誤魔化してしまおうかと思ったりもしたけど、真剣な眼差しで見つめてくるめーちゃんに対して誤魔化すのは失礼だと思い心を決めた。
「わかった。めーちゃんの気持ちはよくわかったよ。
優斗君はりーちゃんがお似合いだと思って自分の気持ちを誤魔化していたところはあるけど、本心はめーちゃんが思っていた通りで、たしかに優斗君が好きだよ」
「では、一緒に・・・と言っても、お姉ちゃんにも持ちかけようと思っていますけど、いかがでしょうか?」
「うん、そうだね。あたし達は長いこと仲良くやってきた幼馴染みだもんね。
ちゃんとりーちゃんも仲間に入れてあげないとダメだね」
「はい・・・でも、決定的にお姉ちゃんが不利になったと知ってから行動に出る私は卑怯ですけどね・・・」
「そんなことないよ。どう見ても両片想いにしか見えないところに割って入るのは勇気がいるよ。
それに、あたしだって友情が大事だと思って自分の想いを誤魔化していたんだし、ましてやめーちゃんは姉妹なんだから尚更だと思うよ」
「ありがとうございます」
もう3年になるのだし、ここではっきり行動に出して振られたら振られたで踏ん切りを付けて、めーちゃんの応援をするなり二人揃って振られて次を考えるなりすれば良いかと決心した。
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