第30話

side 芽衣子めいこ


お姉ちゃんが暴漢に襲われて怪我をしたと連絡を受け朱音あかねさんと二人で病院へ駆け付けた。優斗ゆうとさんにも伝えたかったけど、私が優斗さんの教室へ行った時にはすでに帰られていたようで会えなかった。


病院へ着いてから朱音さんがあれこれお姉ちゃんに質問して色々と事情を聞き出して、更には警察の人の聴取の時にも立ち会っていたので概要は掴めた。

大井おおい・・・もはや『先輩』を付けるに値しない・・・はお姉ちゃんが性交させなかったことを逆恨みして性交したと嘘の噂を学校に広め、その噂話の性交を行っていたことを学校が問題視したために推薦で決まっていたサッカー強豪の高校への進学が白紙に戻ってしまい、更に今回の事件で親御さんとも揉めてしまっていて、それらのウサを晴らすためにお姉ちゃんを襲ったということらしい。

犯行動機が身勝手でお姉ちゃんも身体にたくさんの痣ができたこともあり少年犯罪と言えど厳しく対応されるだろうということだった。

お姉ちゃんは1泊入院して明日の再検査で問題がなさそうなら退院するということで、私とお母さんは今日のところは帰る事になった。


家に帰ってから優斗さんに今日のことをLINEのメッセージで連絡したら、詳しく知りたいから通話したいと言われて応答した。


『芽衣子ちゃん、LINEで教えてくれてありがとう。その連絡してもらったことだけど・・・』


背景情報として先週のバレンタインのことから今日遭ったことまでをお姉ちゃんが優斗さんに告白させたいから大井にチョコを渡した事を濁して説明したら、やはりどうしてチョコを渡したのかという疑問を持ったようだった。

お姉ちゃんは思い出作りなんて言っていたらしいけど、客観的に見れば思い出作りにしては行動がチグハグだからしょうがない。


『・・・僕には理解しきれないところもあるけど、とにかくありがとう。梨衣子りいこにお大事にって伝えてもらえると嬉しいな』


「はい、必ずちゃんと伝えます。こちらこそお姉ちゃんのために時間を割いてくれてありがとうございました」


『何かあったら必ずちからになるから連絡してね。じゃあ、またね』


優斗さんとの通話を終えると、お姉ちゃんに優斗さんからの『お大事に』を伝えるべくメッセージ送信しておいた。

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