第26話
side
さすがにお姉ちゃんの騒動も落ち着きを見せるだろうと思って登校した週明け。金曜日の比ではないくらい酷いことになっていた。
どこから湧いて出てきたのかお姉ちゃんと
土曜日にデートしていたことすら言わずに『お姉ちゃんは大井先輩とは付き合えないと断ったし、性行為なんかもっての外だ』と断言したのだけど既成事実の様に広まっている噂の前には全然響かず私は苦労した。
特に昼休みにお姉ちゃんと大井先輩がそれぞれ担任の先生に呼び出され、それが終わると午後の授業に出ず早退したことが知れ渡ると『事実だったから停学処分を言い渡された』説が同時多発的に囁かれる様になり、もはや私の友人達くらいしか聞く耳を持ってくれなくなり、話を聞きに来るのは事実だと思っていることが本当だということを確認したいがためだけに来る出歯亀しかいない状態だった。
少し怖かったけど部活を休みたくなくて部室へ行ったら、少しだけお姉ちゃんのことを触れられたけど、私の話を聞いて違うと受け入れてくれてからはその話題に触れずにいてくれた。
部活が終わって帰宅すると
ふたりの話が他愛もないものに変わったのを確認してノックをしてお姉ちゃんの部屋に入った。
「ただいま。朱音さんはいらしてたんですね」
「うん、りーちゃんが心配だったからね」
「姉のためにありがとうございます」
「何言ってるの。りーちゃんはあたしの親友だよ。親友の心配をするのは当然だよ」
「それでも感謝してます。
ところで、お姉ちゃんは大丈夫なの?」
朱音さんと挨拶のやり取りを終えたところでお姉ちゃんに話を振るのと同時に表情をちゃんと見ると迷いがない晴れた雰囲気で大丈夫そうだと思った。
「うん、大丈夫だよ。気に掛けてくれてありがとう。
それと今日も迷惑かけたでしょ?
ごめんね」
「気にしないでいいよ。ちょっと煩わしかったくらいで実害はなかったから。
それで、お姉ちゃんはこれからどうなるの?」
「とりあえず、今週いっぱいは学校を休むようにって先生に言われてる。
そして、これからお母さんが帰ってくる時間に合わせて先生がうちに来て話をすることになってる」
「そうなんだ。でも、大井先輩とは何もないんだし問題ないよね」
「うん。噂は嘘なんだから、ちゃんと説明してわかってもらえば問題ないよ。
先輩ということが食い違っているから今のところは保留になっているだけで、学校の対応も停学とかの処罰じゃなくて、忌引みたいな休みの扱いで授業の補足の課題も用意してくれると言ってくれてるし、わからなかったら電話で説明もしてくれるって言ってくれてる」
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