第23話

side 優斗ゆうと


日曜昨日のことがあったので母さんからは学校を休んだ方が良いのではないかと心配されたけど、痛みも違和感もなかったので学校を休むことなく登校した。

やはり梨衣子りいこ大井おおい先輩の事があちこちで話題になっていて僕のクラスでもその話をしている人達がいた。

ただ、僕に直接何かを言ってくる人はおらずいつも一緒にいる級友と他愛のない話をしていた・・・級友達はあえて空気を無視して関係ない話をしてくれ、その気遣いに嬉しくなった。


午後になって、昼休みに梨衣子と大井先輩のそれぞれが担任の先生から呼び出し受けて、面談した後に早退しているということで『停学や謹慎処分になったのではないか?』という憶測が囁かれるようになっていた。

放課後になって部活では部の仲間たちに心配の声を掛けてもらってそれは良かったけど、あまり仲が良くない大井先輩を心酔している部員からは嫌な目線を送られて億劫にもなった。


部活は少し嫌な雰囲気があったものの概ねいつもとあまり変わらないまま過ぎていき、部活が終わって最終下校時刻が目前のすっかり暗くなった校舎の様子を見ると職員室にはまだ多くの先生が残っている様子が窺えた。

支度を終えて帰ろうとしたら3人の女子がそれぞれ保護者と思わしき大人に連れられて帰っていく姿が見え、その内の1人は僕のクラスの柳井やないさんで表情は非常に暗かったし、他の見慣れない女子2人も同じく表情が暗かった。


帰りながら先程の柳井さん達のことを考えていたら柳井さんは大井先輩と関係があると噂があった事を思い出し、今日の一連の流れから考えるとその事が関係していそうだし、そう考えると残り2人もそう言った関係者のように思える。

ただ、僕にとっては他の人はどうでも良くて、梨衣子がそんなにあっさり大井先輩と関係を持ったという話がひとことでは言い表せないほどのショックだっただけだ。


梨衣子本人からは何も聞いていないし、頭の中でははっきりしていないのに大井先輩からの話だけで事実として受け止めて良いのかという思いもあるけど、それを確認して確定させることへの恐怖心もあって今のまま逃げ出したいという気持ちと聞いて嘘だと言って欲しいという気持ちが堂々巡りしている。

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