第21話
side
お姉ちゃんを気分転換に誘って出掛けた帰りに
もちろん優斗さんが心配で居ても立っても居られない心境になり、お姉ちゃんも同じ心持ちでお母様に同行を申し出てくれたので私もそれに乗じてご一緒させてもらった。
学校へ近付くとすれ違うサッカー部の部員と思われる人達が明らかにお姉ちゃんを見て悪い意味での反応をしていて、しかも
学校へ着き優斗さんが待機しているという保健室へ向かうと、優斗さんがベッドに横になっていてサッカー部の顧問の
「ご足労ありがとうございます。
私は早川先生との直接の面識はなかったので、恐らく早川先生が言った『初芝』はお姉ちゃんのことだと思う。
「はい、ゆうくん・・・松下君とは幼馴染みなので、たまたまお会いした小母さんから意識を失ったと話を聞いて心配で同伴させてもらいました」
「そうか。まぁ、すぐに意識を取り戻したし問題ないだろう。な、松下」
「はい、
とにかく心配してくれてありがとう」
早川先生に促されるように身を起こしてこちらを向くと会話で名前が挙がっておらず声も出してなかった私の姿を見た優斗さんは驚きの声を上げてからお礼を言ってくれた。
「ちょうどお姉ちゃんと買い物に出掛けてて、帰るところで小母様にお会いして、あとはお姉ちゃんの言った通りです。
本当にもう大丈夫なのですか?」
「うん、大丈夫だよ。全然問題ないと思うのだけど、先生が一人の時に気を失ったら大変だからって」
「松下。頭に衝撃を受けたんだから油断をするな。
時間差で症状が出てまた意識を失って取り返しがつかなくなるかもしれないんだぞ」
「そうよ。優斗、先生のおっしゃる通りよ。
あなたが帰ってこない事を考えたら、こうやって迎えに来た方がずっといいわ。
先生、改めてご配慮ありがとうございます」
お母様は優斗さんを窘めることを言った流れで早川先生へお礼を言いながら頭を下げた。
「いえ、当然のことです。担任の
保健室でのやり取りを終えると、私達は学校を後にし家の方へ向かって移動を開始した。
優斗さんの荷物は大小2つのカバンだったので私とお姉ちゃんで持っていくと主張し、遠慮する優斗さんを説き伏せて私が大きい方を、お姉ちゃんが小さい方を持っている。
落ち着いて観察すると優斗さんはお姉ちゃんと距離を置こうとして、お姉ちゃんがいつもの自然な距離に立とうとすると然りげ無く避けていて、それでも不自然にならない様にお母様や私の傍に寄り何気ない会話をしている。
お姉ちゃんもそのことには気付いている様だけどお母様がいる前で何と言って良いのか迷っているようで黙って様子を見ている。
優斗さんのお家に近くなり、私達の家と別れる路地で優斗さんとお母様からお礼を言われて別れた。
お姉ちゃんと私は家まで見届けると言ったのだけれど、お母様が暗くなっているしうちのお母さんが心配するだろうから早く帰りなさいと諭されその言葉に従わざるを得なかった。
優斗さん達と別れてお姉ちゃんと二人きりになり歩き始めると、
「ねぇ、今日のゆうくん、わたしのこと避けてなかった?」
「私もそう見えたね」
「どうしてだろう?」
「恐らくだけど、サッカー部の中で
学校の近くでサッカー部の人にすれ違った時、お姉ちゃんを見て変な反応していた人がいたし」
「やっぱり・・・わたしもそれを感じてた・・・」
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