第20話
side
そうこうしている内に日が落ちかけて来たので帰宅をし始めた。
「あのっ、小母さん、どうされたんですか?」
家が近くになったところでゆうくんのお母さんがどこかへ行こうとしているのを見掛け、思わず声を掛けてしまった。
「梨衣子ちゃんに芽衣子ちゃん、こんばんは。
「ええ!?」
「でも、心配しないで。すぐに意識を取り戻しているみたいだから。
念のため1人にさせないように迎えに来て欲しいと連絡をもらってね、それで優斗を迎えに学校へ行くところなの」
そんな事があったと聞いたらわたしも心配になってしまい、ゆうくんの様子を見たいと思って隣りの芽衣子を一目見ると気持ちをわかってくれたのか小さく頷いてくれた。
「それならわたし達も一緒について行って良いですか?
大丈夫と言われても心配なので、ゆうくんの様子を見たいです」
「私は構わないわよ。芽衣子ちゃんも一緒でいいの?」
「はい、私も優斗さんが心配ですからお邪魔して申し訳ありませんが」
「邪魔なんてことはないわ。むしろ、芽衣子ちゃんも梨衣子ちゃんも優斗の事を心配してくれてありがたいくらいよ。
おばさん、優斗に良い幼馴染みがいて嬉しいわ」
ゆうくんのお母さんと3人で学校へ向かいながら話を聞くと、ゆうくん達サッカー部は昨日今日の土日で関東圏のいくつかの学校で合同合宿をしていたとのことだった。うちの中学のサッカー部は去年の大会の実績もあってこういった話を最近よくもらっていて、色んな学校から練習試合や合同練習を・・・泊まりがけは今回が初めてだったけれど・・・持ちかけられていてゆうくんも楽しんでいるらしい。
『去年の大会の実績』という部分にはその立役者と悶着があったばかりなので気持ちに引っ掛かりを覚えたけど、ゆうくんのお母さんは関係ないことだし嬉しそうに話されているのに水を差すのも憚られて笑顔を作って相槌を打ったつもりだけど、本当にできていたかはわからないので後で芽衣子に聞こうと思う。
そうこう話しながら歩いて学校が近付くとサッカー部の生徒とすれ違い始めた。その生徒たちの意味ありげな態度に引っ掛かりを覚えたものの偶然かもしれないと流し、同じクラスの男子達がわたしの顔を見るなり意味ありげに嫌な笑い顔を作ってリアクションをしたので何かがあると直感したけど、ゆうくんのお母さんも一緒なのでその場では反応しない様にし不快な気持ちを制す様に我慢した。
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