第18話
side
お姉ちゃんが
状況は落ち着いている様に見えたけど、顔をよく見ると目の周りは泣いていた形跡があるし朱音さんの気遣い方から相当な何かがあったのだと察せられる。
「朱音さん、ありがとうございます。
お姉ちゃん、何かあったの?」
「うん・・・もう大丈夫だから心配しないで」
「めーちゃん。念のためついてきたけど、りーちゃんはもう大丈夫だと思うからそっとしといてあげて」
「わかりました、朱音さん。
お姉ちゃん、やっぱり話したいなって思ったらいつでも言ってね」
朱音さんはお姉ちゃんを送り届けるとそのまま家に上がることなく玄関で挨拶だけして帰られた。
そしてお姉ちゃんの触れてくれないで欲しいという雰囲気に朱音さんの言葉を受けそれ以上触れないこととして、温まった方が良いだろうとお風呂の用意をし、湯が張り終わったらすぐに入るように声を掛けた。
「芽衣子!?」
お姉ちゃんがお風呂に入ったところで私もすぐに準備してお姉ちゃんが入っているお風呂場に入ったので・・・一緒にお風呂に入ったのは私が小学校3年の時以来だから・・・お姉ちゃんは意外で驚いたのだと思う。
私はお姉ちゃんが心配だったことが半分と、最近の色々のことを少しでも感じ取ることができたらという思いが半分で不意打ちを仕掛けた。裸の付き合いという言葉があるけど、一糸まとわぬ姿は同性の身内であっても特別なもので普段では得られない物がある様に思う。
「心配だったから・・・背中流すよ」
「いいよぉ」
「良いんだね?
じゃあ、そっち向いて。私はこっちから洗うから」
お姉ちゃんの『いいよ』は拒否の意味があることは察せていたけどあえて無視して強引に反対側を向けさせ私が背後を取った。
「ちょっ、やめっ」
「いいからいいから」
なおも抵抗するお姉ちゃんを物理も含めて説き伏せ大人しく背中を預けてくれたので、洗い始めた。
「元気になった?」
「そうだね。芽衣子のお陰で悩んでいたのがうやむやになったよ」
「それは良かった。何があったのか聞いても良い?」
「うーん。どうせわかっちゃうか。
今日ね、
「うん。おめかししていた割りには楽しそうじゃない雰囲気で出掛けていったからそんなんだろうなと思ってた」
「まぁ、わかるよね。学校中で話題になっていたみたいだし、芽衣子も友達とかに何か聞かれた?」
「聞かれたね」
「ごめんね。巻き込んじゃって」
「そんなのは良いよ。実害はなかったし」
「でも、迷惑をかけたでしょ」
「本当に迷惑のうちに入らない程度だから気にしないで」
「ありがとう。でも・・・」
「謝るくらいなら、事情を説明して欲しいかな。聞かせてもらっても良い?」
「そうだよね・・・」
それからバレンタイン当日から今日帰ってくるまでにあったことをゆっくりだけど語ってくれた。
思っていたよりひどい内容で困惑したけど、お姉ちゃんに何事もなくて良かったと思う。
でも、この一連の出来事で優斗さんとの間にヒビが入る様なら私が入り込んで優斗さんにアプローチしたいなと思った。
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