第8話
side
朱音さんが帰宅された時間から逆算するとけっこう遅い気がするけど、もしかしたら優斗さんと何か話していたのかもしれないし、今の状況をひとりで考えたくて公園かどこかで過ごしていたのかもしれない。
朱音さんにはお姉ちゃんに近付かないようにすると言ったけど、様子が気になってしまいお姉ちゃんがいるリビングへ足を運んだ。
「おかえり、お姉ちゃん」
「うん、ただいま」
「遅かったね」
「ちょっと学校で用があってね」
「ふーん。バレンタイン関係?」
バレンタインについて触れた途端お姉ちゃんの表情が険しくなった。
「関係ないよ」
「そう?
今日は委員会もないし部活も原則やらない事になってたよね」
今日は先生方の勉強会があって生徒は速やかに下校するように言われていたために委員会も部活も特別な理由がなければ休みになっていたから、お姉ちゃんも言い訳にしても苦しかったと思った様で表情が歪んだ。
「どうでもいいでしょ!」
「うん、そうだね。聞かなくて良いことを聞いちゃってゴメンね」
「あっ、わたしこそムキになってごめん」
「大丈夫、気にしないで良いよ。それより疲れてそうだね。温かいココアでも飲む?」
「うん、でも良いの?」
「いいよ。私も飲もうと思っていたから手間は同じだし」
ココアを作って、自分とお姉ちゃんの分をマグカップに注いで、お姉ちゃんのカップを渡した。
「ありがとう」
「どういたしまして。身体が冷たくなると考えも暗い方向へ行くから、甘いもので身体を温めて、ゆっくり気持ちを落ち着けて、それから考え事をした方が良いよ」
「そうかもね。ほんと、ありがとう」
「じゃあ、私は自分の部屋へ戻ってるから」
「うん、後で夕飯ができたら声を掛けるね」
お姉ちゃんはまだ落ち込んでいるみたいだけど、多少は持ち直した様で夕飯の支度は予定通りやってくれるようだ。
自分で作ってもいいけど当番を変えるとお母さんが気にするし、余計な心配をさせないで済むのでお姉ちゃんが動いてくれて良かったと思う。
それにしても
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