第63話 金剛力士像と行く!能登半島まるッと一周ツアー
いよいよ能登編、本格的に開幕です。
作者・川中島ケイと浜寿四郎は能登の復興を全力で祈念しています。
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永禄10年(1567年)5月半ば。
越前の雄・
ちなみにこれでも全軍では無く、朝倉家総力となると3万近くになるらしい。今回その3分の1の規模なのは、次期将軍候補・足利義秋を奉る
「しかし七尾城と言えば我らが春日山城にも匹敵するほどの強固な山城と聞いております。武力で攻め落とさんとするならば兵力3万はないと難しいだろう、と。
我が主君・輝虎は我ら越後勢が駆け付けるまで無闇に攻め込まず、ひとまずは敵を囲んで外能登(能登半島の西側)との連絡を遮断すべき、との事です」
能登の絵図面の各ポイントを指差しながら説明するのは越後・上杉輝虎の重臣、
「我らは総勢2万にて、一方は越中から陸路にて鬼小島弥太郎率いる1万の軍勢がこちらに向かっております。加えて富山湊より船にて輝虎さまが軍勢1万も能登島に渡り、そこから攻め寄せる次第」
つまり全軍が合流すると3万2千の軍勢が七尾城を取り囲み、加賀側も越中側も、湾に浮かぶ能登島からも援軍が望めない状況にするという算段らしい。それに対して七尾城に籠る能登七人衆と呼ばれる反乱側の勢力は8千程度。さすがに兵力差4倍・援軍ナシ・退路ナシとなれば難攻不落の山城でも守り切れないだろう。
「ただ……能登半島の
「ほほぅ。つまり七尾城総攻めまでにそれらを巡り、援軍を送れぬよう我らが押さえればよいのだな! その役目、我らが引き受けよう!! 」
そう言って名乗りを上げたのはド派手な甲冑に身を固めた一人のおっさんと二人の大男。大男の方は二人とも身長2メートル以上ありそうな感じで、それが自分の身長を越える長さの槍を持って左右に立っている。まるで金剛力士像が動いてるのを見てるぐらいの感じだ。
そして真ん中の男はそこまでの大きさは無いが、なんせ鎧が凄い。赤・黒・金が混じって所々に燃え盛る炎をイメージしたのかトゲトゲになった装飾が施され、兜の前立てには鹿の角を根元から切り落としてくっつけたかのようなバカでかい角が付いている。もはや鎧武者というより歩く和風クリスマスツリーみたいな状態じゃん。これどうやって動くの??
「……わが父の従兄弟で親族衆の
内心(コイツを紹介するのは頭が痛い)と言いたそうにこめかみを押さえながら義景が紹介する。この前の朝倉景鏡といい、朝倉家って個性的な皆さんが多いのね。
「たしかに景連どのが次々と能登の城を落とせば、勢いがどちらにあるのかを能登の者達にも存分に示す事が出来ましょう。七尾城を囲む方は我らに任せ、存分に暴れられよ!! 」
そう言って賛同するのは先代の弟にして朝倉軍の大将・
「寿四郎殿、そなたらも景連ら2千と共に行ってもらいたい」
「ふぇっ!? 」
うわぁ、他人事だと思って聞いてたらご指名ですか!?
まあ確かに城を取り囲むのに『他家と同盟で8千』よりも『自分の軍だけで統一した8千』の方が指揮系統的にも円滑に回るんだろうけど……俺こんな方々と一緒に能登半島一周ツアーとか、イヤだなぁ。
「ほう、そちが噂のはま寿四郎か! 聞いていた武勇伝に比べると随分と地味な小男じゃな。そんな事ではいかんぞぅ! 武士ならばもっとド派手にいかんとな、ド派手に!! 」
クリスマスツリーが目の前に迫ってきて豪快に笑う。あのね、大将って言うのはそんなに目立ったら鉄砲とか弓とか格好の的になるのよ。そこんトコ分かってる??
「我らと馬を並べられるような猛者はおらんと思うが、まぁよろしくな」
「……ああ、よろしく頼む」
俺の後ろでは静かに殺気だったマグロが真柄兄弟のどちらかと握手しながらお互い手を離さない。あぁこれ、握力で相手を測ってるゴリラヤンキー的なバッチバチの展開だわ、仲良くできないパターンのヤツじゃん。出発前からすでに頭痛くなってきたぞ。
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