第二十三話 戦勝祝賀会
ジカイラは宿に戻ると、デン・ホールン、デン・ヘルダー間の紛争や、
ジカイラが報告書を送り、宿で一息ついていると、領主の城から使いの者が来て、領主主催の『戦勝祝賀会』にジカイラ達は招待される。
戦闘が明け方まで続いたことから、戦勝祝賀会は昼過ぎに開催されるとのことであった。
朝から昼まで一眠りしたジカイラ達が領主の城に行くと、招待されていたのはジカイラ達だけではなく、海賊
戦勝祝賀会そのものは細やかなものであったが、デン・ヘルダーの十倍近い軍勢との戦いに勝利を収めたことから、大いに盛り上がり、昼過ぎから夜半まで続いた。
酔い潰れた男達を他所に、女の子達だけで集まり、座談会の様相を見せる。
ティナが
「結婚しているんですか?」
「独身よ」
「恋人は?」
「今は居ないわ」
「えー。意外ですね」
ティナやヒナといった思春期真っ盛りの女の子達から見ると、二十代半ばの
「この中で、彼氏がいる人は?」
ヒナが手を挙げる。
「・・・はい」
ルナも手を挙げる。
「・・・私も」
ヒナとルナを見て、
「良いわね。青春しているわ」
「貴女は、どういう
唐突に話を振られたクランが驚く。
「えっ!? 私ですか??
ルナも口を開く。
「そうなんだ。
ツバキが呟く。
「逞しくて、強い男の人・・・」
座談会の女の子達の目が、酔い潰れてテーブルで寝ているジカイラに集まる。
(ジー)
ヒナが顔を真っ赤にして、慌てて周囲を咎める。
「ダメよ! ジカさんは!! 私の彼氏なんだから!!」
必死なヒナを他の女の子達が笑う。
「「あはは」」
「「ヒナちゃん、必死だね」」
--翌朝。
宿屋のベッドで熟睡しているジカイラにヒナが声を掛ける。
「ジカさん、フクロウ便で手紙が来ているわよ」
昨夜、戦勝祝賀会でアルコールが入ったジカイラは熟睡していたため、ヒナの声にもなかなか目覚めない。
ヒナは、ジカイラの体を揺さぶりながら、再び声を掛ける。
「起きて! ジカさん、手紙よ!!」
ジカイラが目覚める。
「・・・手紙?」
目覚めたジカイラは、ベッドの上で上半身を起こすと、ヒナを膝の上に抱き寄せて手紙を受け取る。
ジカイラは、手紙の封印を切って羊皮紙の手紙に目を通す。
「はぁ!?」
突然、ジカイラが素っ頓狂な声を上げる。
ヒナが怪訝な顔で尋ねる。
「どうしたの?」
ジカイラがヒナに答える。
「ラインハルトからの手紙だ」
「ラインハルトさんから? ・・・なんて??」
「『今すぐ行く』ってさ」
「ええっ!? ラインハルトさんがここに来るの??」
二人が話していると、窓から部屋に入ってきていた朝日が陰り、外が騒がしくなってくる。
「もう来たみたいだな・・・」
ジカイラは、そう言うと普段着を着て、ヒナを連れて宿屋に出る。
宿屋の外に出たジカイラとヒナは、街の人間が空を指差して騒いでいることに気が付く。
二人が空を見上げると、デン・ホールンの上空に巨大な
ジカイラ達の宿屋は、その飛行戦艦の日陰に入ったのであった。
デン・ホールンの上空に
更に四隻の飛行戦艦と四隻の飛行空母がデン・ホールンの街を取り囲むように
四隻の飛行空母の後に、
続いて、四枚の羽を持った魔神と
領主のアイゼンブルク、ツバキ、ホドラムは、城の外に出て、城の入り口からその様子を眺めていることしかできなかった。
事情を知らないアイゼンブルクが狼狽える。
「どこの軍勢だ? 我々をどうするつもりだ??」
ホドラムが呟く。
「これは・・・制圧だ」
ツバキがホドラムの方を向いて繰り返す。
「制圧って・・・」
領主の城前の広場に飛空艇を止めていた
「・・・まさか、飛行戦艦を転移させて来るなんて!! それにあの軍勢、あの兵力!!」
領主のアイゼンブルク、ツバキ、ホドラムの元に伝令兵が駆けて来る。
「上空の飛行戦艦より連絡です。『こちらはヴァレンシュテット帝国軍 総旗艦ニーベルンゲン。抵抗しなければ、攻撃はしない』とのことです」
驚いたホドラムが口を開く。
「総旗艦って! 皇帝座乗艦って事だろ!? 皇帝陛下が此処に来たって事か!!」
ホドラムの言葉を聞いたアイゼンブルクが更に狼狽える。
「まさか!? 皇帝陛下がこんな辺境に自ら行幸されるとは!!」
ツバキも驚いて、両手を口に当てて固まっている。
ホドラムが警備兵に指示を出す。
「警備兵に連絡! 儀仗だ!! 警備兵は城の入口前に整列! 皇帝陛下に失礼のないようにな!」
ホドラムの命令で警備兵達は、皇帝を迎える準備に取り掛かった。
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