第11話 思わぬ展開

知人(男性)が、高校生の頃に街で遭遇した珍事件がある。


ある日、知人が都市部にある大型書店に行った時の事だ。

書店の周りには商業施設等があり、行き交う人々もかなり多い通りでの出来事だった。


知人は、予約していた本を買って、ホクホクした気持ちで書店を出た所で、綺麗な女性に声をかけられた。

その女性は、こう話しかけて来たそうだ。


「すみません。お忙しいとは思いますが、何卒…、世界平和の為に、この場で一分間、瞑想して頂けませんか?」


(新手の宗教か…?)と知人は思ったが、相手が綺麗な女性だった事もあり、その場で直立不動で瞑想した。


以下は瞑想中の知人の心の声である。

「(一分間…)」


「(長いな…)」


「(けど…声をかけられないから…、まだ一分ではないのだろう)」


「(…にしても…長いなぁ…?)」


「(…けど、世界平和の為だ)」


「(…それにしても、綺麗な人だったなぁ…)」


「(新手のナンパ…?じゃないよなあ?けど、そうならいいなぁ…)」


「(…長っ…!…いや、いい加減、3分は経ったろう…!?)」


と、目を開けると…なんと、目の前にその女性は居らず、道行く人達は、知人を見てクスクス笑っていたそうな…。


知人は恥ずかしさで、泣きそうになりながら走って帰ったと話していた。


高校生を相手に、酷い話である。


相手が綺麗な女性でも…、話を鵜呑みにしてはいけないんだなぁ、と学んだ。

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