第8話 歌と木陰

私からの言葉をたなびく雲に乗せて、

風よ、未だ顔も知らないあの人の元へ運んでおくれ


あの人が一人、何か深い悲しみに沈んでいるのなら

鳥よ、せめて私の代わりに歌を歌って励ましておくれ


あの人が一人、見知らぬ土地を彷徨っているのなら

木よ、せめて私の代わりに安らかな木陰を与えておくれ


月よ、星よ、太陽の光よ、あなた方が私にそうするように、

ささやかに、ひそやかに、あの人にそっと微笑みかけておくれ

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