第7話 夜鶯の調べ

我ら夜鶯が歌うは甘やかなる官能の調べ 

夜の薔薇の下で睦みあう恋人達への賛歌オーデ


その夜露に濡れた睫は 我が目に蔓草の如く絡み 

その魅惑的な両の瞳は 私を甘美な檻の虜囚とした 

滑らかに色づいた頬も 我が胸の飢えを呼び起こし 

艶やかに香る髪もまた 我が心を縛りあげる 

だが美しい人よ 私はただ一時の夢をそなたの唇に求めよう  

今宵見る夢は 夜毎形を変えるこの月よりも短いが

この月の光は ただ一夜の夢を永遠の愛へと変える


我ら夜鶯が歌うは甘やかなる官能の調べ

夜の窓の下で捧げられる恋人への小夜曲セレナーデ


一時の邂逅は 永遠の情愛に

交わす言葉は 永久とわの想い出に

その唇からは 優しき言葉を

その腕からは 熱き抱擁を

だが美しい人よ 私は空に燃えて流れ落ちゆく星となろう

そして私はそなたという名の 芳醇な海に落ちて溶け合い

悦楽の泡に交じり合いながら 海の底に沈む宝石へと変わる


我らが生は ただ星の瞬きの如く短い一時

然れども我らは 生ある限り歌い続けるだろう

愛こそは 何よりも分かち難き絆 

恋人達が夜闇の中で散らした 何よりも熱き火花で鍛えた鎖  

たとえ死という名の 銀色に輝く剣が振り下ろされようと  

決して儚く消えはしない 永久に残る証であるということを


我ら夜鶯が歌うは甘やかなる官能の調べ

永遠の愛を誓いあう恋人達に捧げる賛歌オーデ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る