第46話 二人だけの時間 シウ視点
「ユウくん、シウ……本当にいいのか? 私達だけで行ってきても」
「勿論だよ! お父さんの怪我が治ったお祝いにプレゼントしたんだから、夫婦水入らずで楽しんできてよ」
長期のリハビリをこなして不自由なく日常生活を送れるようになった未知さんに、ユウとシウは温泉旅行をプレゼントしたのだ。
特に付きっきりで看病とリハビリを行っていたイコさんを労うためにも、是非楽しん欲しいと思っての提案だった。
「それじゃ、お言葉に甘えて……イコ、行ってこようか」
こうして二泊三日……両親がいない時間を手に入れたシウは、ここぞとばかりに恋人と楽しもうと細く笑みを浮かべていた。
「ねぇ、和佳子! あれから雪村さんとの同棲生活はどう? どんなことをしてるの?」
「えー、どんなことって……別に普通だよ? 一緒にご飯を食べたり、ゲームをしたり」
「嘘だ! 嘘だ嘘だ、嘘だ! 絶対に二人きりなのをいいことにイチャイチャしてるに違いない!」
「し、してないよ、そんな! 逆にシウの方はどうなの? ユウさんとどんなデートをしてるの?」
親との同居で思うようにイチャイチャできないシウに気を使ってか、一泊旅行やネズミーランドなど定番のカップルデートに出かけたりと色々楽しく堪能させてもらっていた。
だが、今回は両親がいない……お家で二人きりの時間を過ごすのだ。
せっかくなのでこの時にしかできないことを楽しみたいとシウは考えていた。
和佳子達みたいに同棲生活を楽しみたい!
「えー、普通にシウ達の方が恋人らしいことをしていて羨ましい! ずっと一緒にいるとマンネリになるっていうか、結局それぞれで過ごしているよ」
「そんなことを言って、雪村さんがゲームしている時に潜り込んで、ハグされてるみたいな体勢でゲームしたりしてるんじゃないの⁉︎」
「ほえぇ……っ! そ、そんなことしてないよ!」
彼氏にバックハグされているような姿勢だなんて、甘い! 甘過ぎる! なんて幸せ過ぎる行動だろう……!
「お風呂だって一緒に入って、アワアワ風呂でイチャイチャしたり」
「そ、そんなこともしてない! してないよー‼︎」
「お揃いのパジャマを着て、ソファーでイチャイチャしながら映画を見たり」
「あ、それはしてるかも」
「ほらね、やーっぱり羨ましい! 私もユウと一緒にイチャイチャしたい!」
それにしても瞬時にポンポンとアイディアが出てくるシウは、どれだけ恋人とイチャイチャしたいと思っているのだろうと、ドキドキしながら和佳子は考えていた。
「シウはユウさんと一緒に家で過ごせるのが楽しみなんだね。いいなー、いつまで経っても仲がいいのって」
「えー、和佳子も雪村さんのことが大好きでしょ? 好きな人のことを考えたら楽しいことをしたいと思うのが普通じゃないの?」
確かにシウの言うとおりなのだが、特にシウの場合は気持ちが強いというか、貪欲というか。
恋愛に対してのベクトルが桁違いだと思い知らされる。そしてそんな彼女と話していると色々と刺激されるので、自分も頑張ろうと思えると和佳子は密かに感謝をしていたのだ。
「ねぇ、シウはユウさんとどんなことをしようと思っているの?」
「別に大したことは考えていないけど……。とりあえずユウが好きなご飯を密かに練習しているとか、前にプレゼントしてもらったルームウェアをペアで着るために用意しているとか……? あ、それとユウに楽しんでもらうためにたくさんのゲームを用意したよ! ブラザーズパーティーとか!」
「健気! 何であんなエロいことばかり聞いてきたのに、計画してることは健全なことばかりなの⁉︎」
普段、両親がいてできないエロエロなことをしたいと駄々をこねているくせに、いざ二人きりになったら健全に走るなんてと、思わずツッコミを入れてしまった。
ここはエロコスプレをして、普段できないプレイを楽しむのがセオリーじゃないの⁉︎
「和佳子……。実は雪村さんとそういうことをしてるの?」
「ち、違……っ! 普段のシウなら、そういうことをしそうだなーって思ったの!」
「確かに和佳子の言うとおり、お母さん達がいない時にしかできないそういうこともしたいけど、普段とは違う一面を知ってもらいたいなって思ったの。ほら、もう少しで結婚式だし、私と結婚して良かったと喜んでもらいたいと思ってね」
「シウシウ……!」
可愛過ぎる、シウ!
和佳子はシウをギューっと抱き締めて、全力で楽しんでもらいたいと心に強く誓った。
「シウ達の為にできることは何でも手伝うから! シウもユウさんとの時間を楽しむ為に頑張ってね!」
「和佳子……、ありがとう! それじゃ早速、可愛い下着を買いに行こうと思うんだけど、一緒に行ってくれる?」
「えぇーっ! 何で言ってすぐにエロ路線に変わるの⁉︎ おかしいって、おかしいよシウ!」
「おかしくない、おかしくない。せっかくだから和佳子も雪村さんの為にエロい下着を買ったらいいじゃん。いつも和佳子がどんな下着を買っているのか気になるし」
こうしてからかわれていることに気付かない和佳子は、シウのペースに巻き込まれていつもの通り遊ばれるのであった。
・・・・・・・・・・★
「うぅーっ! いつか私がシウのことをからかってやる!」
何気に本編のシウ和佳子さんと立場が逆転してるんですよねw
あちらでは和佳子さんの方がエロ知識に長けていて、シウに色々アドバイスする感じですが、こちらでは和佳子さんが揶揄われる感じですw
それはそれで可愛いのだけれども(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます