第4話 おっさん形を学ぶ  平安初段編

空手を組手で大別すると、寸止めでポイントを競う伝統派と実際に当ててダメージを与えるフルコンタクト(フルコン)に分けられる。


それとは別に空手には形(型とも表記する)はというものが存在する。


敵がいることを想定して攻撃・防御の動きを行う。競技ではその完成度を競うわけだ。


茶帯まで行ったんなら一通りできるでしょ?

そう思われるかもしれないが、そうとも言い切れない。


型は流派によって違うのだ。そもそも突きや受けなど基本的な動作ですら微妙に違いがある。


しかも、私の通っていた道場はかなり厳しく、茶帯になるまではひたすら基本動作をさせられていた。


で、二日目の今回は形の練習。本来は入門してしばらくは基本動作の指導から始めるのだが、経験者ということでそこはすっ飛ばそうというわけだ。


指導してくれるのは長谷部さん。

小学生に交じって一緒に教えてもらう。

「じゃあ、まず通しでやっていくので、周りの子を見ながらついてきてください。!」


というわけで、掛け声に合わせて形をやってみる。


平安(へいあんもしくはピンアンと読む)は松濤館の基本型といわれるものだ。初段から五段まであり、これらを全てマスターすると、指定形や自由形といった難易度の高いものを学ぶ。


実は糸東流にも平安初段はあるのだが、全く別ものだったりする。自分の子供がやっているのを最初に見た時にびっくりした覚えがある。



平安初段、前屈立ちでの上段受けと中段突きを基本とした、基礎中の基礎の形だが、シンプルな分だけ、初心者と上級者の差は出やすい。



子供がやってるのを見てたので何となくは順番を覚えているので、とりあえず見様見真似でやってみる。


やってみると意外にうまくいかない。前屈立ちでの反転がうまくいかず、バランスを崩しそうになる。


「突きや受けはきれいですね。切り返しはゆっくりでいいですよ。」


長谷部さんに言われ、ゆっくりな動きで動作を確認する。


久々にやって気づいたが、結構きつい。


平安初段は前屈立ちと後屈立ちで構成される形だ。足を大股で歩くくらいの幅で前後に開き、前方に重心をかけて前足の膝を少し曲げるのが前屈立ち、後ろに曲げるのが後屈立ちだ。


重心を落とさないといけないので、太腿にかかる負担は大きい。私も練習後は足がパンパンになってしまった。


とりあえずの課題はスムーズな切り返しかな・・・。組手と並行して学んでいかないといけないから、黒帯への道のりは険しそうだ・・・。


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