第379話 スク水

 明日には、嫁全員と月見島でハーレムデートだ。


 だからこの前、妻たちに水着を揃えておくように言ってあり、昨日のステラたちのように張り切って水着を用意してくれていると聞いている。楽しみだ。


 なのに、そんなオレの期待に応えようとしない悪い子が1人いた。


「ティーナ♪」


 屋敷にて、寝室に向かおうとしてるロリエルフちゃんを確保する。後ろから忍び寄り、脇を抱えて持ち上げた。相変わらずちっちゃくて羽のように軽い。


「なんじゃ!?なにをする!」


「まぁまぁ、そう興奮せず」


 オレは、しれっとしながら、ティナの部屋のドアを開け、鍵を閉めてサイレントのベルを鳴らした。


「下ろせ!この!」


 腕の中でバタバタと暴れている。くるりとこちらを向かせた。


「なんなのじゃ!一体!」


 ぷんぷんであった。


「だって、ティナだけ水着買いに行ってないって聞いたから」


「……それは……わしは、そういうのは恥ずかしいのじゃ……」


「どういうの?」


「ノアールがいるのじゃぞ!わしがいくつからあの子と一緒にいると思っておる!」


「ふむふむ?なるほどね?」


 オレは理解したような顔をしながら、ティナの服をひん剥いていく。


「なにをする!この変態め!わしは絶対にせぬ!絶対にじゃ!」


 それはもうフラグなんよ。そう思いながらむきむきしたら、すぐにすっぽんぽんエルフが登場した。


「美味しそうだ……」


「なんじゃその感想は!」


「まぁまぁ。水着を用意しないティナのために、オレが用意しておいたからね?」


「話にならん!はなせ!たわけ!」


「ふーむ?」


 とりあえず、素っ裸のティナをベッドに押し倒し、タオルで腕を縛ってベッドに固定する。


「ふむふむ、素晴らしい」


「こんなことしても!わしは屈しないからのう!」


 すごいフラグ生成マシーンである。


「あ、これがティナに用意した水着ね」


「な、なんじゃそれは……」


 オレが用意したのはスク水だった。いわゆる旧スクだ。紺色のワンピースで、胸元に名前が書く場所がついている。以前からひっそりと準備していたものであったが、ここで登場させることにした。


 過去を振り返ると、セーラー服、ブルマ、ときて、スク水だ。

 三種の神器、ここに勢揃い、である。


 何を言ってるかわからない?

 オレもだ。


「ま、とりあえず着てみてね。ロリに似合う水着だから」


「またロリなどと言うて!女性に対して失礼じゃろう!」


「そんなティナのことも可愛くて愛してるから」


「……」


 甘いセリフを吐くと、満更でもない顔で黙ってしまうティナ。


「ティナも案外チョロいよね」


「やめろ!」


 オレが足から水着を着せようとすると、ゲシゲシと顔を蹴られた。


「へぶっ……も〜、わるいこだなぁ〜、ぺろり」


 うっとうしいので、舐め回してやることにした。


「ひゃん!?」


 こそばゆいのか、可愛い声を出していた。その隙にスク水を着せてやる。


「……素晴らしい……」


 目の前には、タオルで縛られて動けない、旧スクを着たロリエルフがいた。


 やっぱりロリにはこれだよな……

 いや、みんなの分も用意してある。みんなに着せるのも楽しみだ……


「とりあえず……」


 キュッポッ。

 オレはペンの蓋をとってティナに近づいた。


「何をする気じゃ……」


 ティナは少し怯えた様子を見せている。


「んー?名前書くだけだよ。ほら、動かないで?」


 オレはあえてちっぱいに触れながら、ティナのことを押さえつけた。


「ん……や、やめ……」


 敏感なティナはそれだけで反応してしまう


「じゃあ、書きまーす♪」


 左手でティナを押さえながら、右手のペンを胸元に近づけた。ピタリと水着にあたり、インクがにじんでいく。


 きゅっ……きゅー……きゅっ


 ゆっくりと、丁寧に、てぃな、という文字をスク水に刻みこむ。


「む……ふぅ……なんなのじゃ……んっ……」


 ペンを走らせるたびに、ティナがぴくついていた。なかなかに楽しい作業だ。


「はい完成」


「……終わりか?」


「うん、おしまい」


「なら、解放しろなのじゃ」


「んー、今日は一緒に寝ましょうね?」


「いやじゃ!」


 またバタバタ暴れ出した。しかし腕を縛られているので脱出することはできない。


「まぁまぁ、そう言わず。わかってるでしょ?今日も、ティナがうんって言うまで、寸止めしてあげるからね?」


「……や、やめろ……」


「いやじゃ」


 オレはわきわきと両手を動かしながら、ティナのことを弄る準備をした。


 いつも手間がかかるがそれはそれでいい。十人十色、嫁はそれぞれ個性があってこそ可愛いものだ。


 そして、ティナが陥落するまでに、そんなに時間は必要としなかった。

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