第358話 親子丼
「じゃあそういうことで!今日はここまで!お疲れ様!」
オレは復興作業を終えてジャンたちに手を振ってから屋敷に向けて駆け出した。
退勤退勤退勤!!うひょー!!
今日は久しぶりにノアールとリリィの3人で寝ることになってる!急いで帰らねば!
♢
「ただいま!!」
「あ!…おかえりなさい…パパ…」
玄関を開けると、ノアールが一瞬嬉しそうな顔をし、でもそれから猫耳をしんなりさせ恥ずかしそうにした。
「なんだいノアールそんなに恥ずかしそうにして!パパに抱きついてほしいな!」
「……」
ピュー。
オレが大きく手を広げているのに、ノアールは尻尾を巻いて逃げていった。可愛い尻尾をふりふりしながら。
ノアールは尻尾の先まで可愛いなぁ♪
「あ、おかえりなさいませ、ライ様」
「ただま、リリィこっちきて」
「はい」
「キスしたい、して」
「は、はい…」
ちゅ
控えめなキスをしてくれた。
「ただいま」
「おかえりなさいませ…」
「今晩のこと、ノアールにはちゃんと説明したんだよね?」
「はい…」
「ふーん?ならいいよ!さぁご飯食べよっか!」
今夜は親子丼だ!
♢
ガチャリ
自室に戻って、妻と娘が入ってくるのをワクワクと待つ。
オレは、部屋の中をぐるぐると歩き回っていた。
まだかなまだかな。
すると、まもなくして部屋のドアがノックされる。
コンコン
「はぁーい!」
ガチャ
扉を開けると、そこにはメイド服に身を包んだノアールとリリィがいた。
「ふわぁ…メイドさん…かわよ…」
リリィのメイド服は、ロングスカートのオーソドックスなものだ。
黒ベースのワンピースタイプの服に胸からスカートと同じくらいまでの白エプロンをつけている。手には白のロング手袋、肘まで隠れる長さだ。頭には白のメイドカチューシャ
1ヶ月ぶりにみても最高だ、リリィは何を着ても最高だ。
「にゃー……」
オレのスケベ顔が怖かったのか、メイドノアールの耳が恥ずかしそうに下を向いていた。
「あ、どうぞどうぞ」
とりあえず、2人を部屋の中に招き入れる。
「かわいいなぁ…」
ノアールのことをジッと見て、つい、つぶやいた。
「にゃ…」
恥ずかしそうにしているノアールには、ソフィアの予備として作っていたメイド服をあてがった。急なことだったので用意ができなかったのだ。
つまり、ミニスカ猫耳メイド、ということになる。
予備の服であってもめちゃくちゃ似合っていた。
メイドスカートの丈からは、白のフリルがのぞいていて、その下はすぐに黒のニーソックスがきている。やっぱり絶対領域って最高だな。
スカートには尻尾用の穴が空いてないので、短いスカートの下から黒い尻尾が伸びていて、ふりふり動いていた。
靴は黒のパンプスだ。
上は半袖のメイド服で、短いエプロンや袖口には白いフリルがあしらわれている。可愛らしいノアールに合う可愛らしいデザインだ。
そしてもちろん頭には白のメイドカチューシャ。
手には何も装備させなかった。いや、ノアールの指にはオレのお嫁さんである証の指輪がついている。
ウミウシを後にした2年前には、通信手段として渡した指輪だ。今となってはお嫁さんとしての、本当の意味での指輪となった。それを思い返すと、感動と共に、早くイチャイチャしたいという欲求が膨れ上がっていく。
お嫁さんとはイチャイチャすべき!すべきだからね!
「んふふ…」
「パパの目…はじめてのときと同じ…えっちな目してる」
「そうだねぇ。ではさっそく」
オレがさっそくと言いながら両手をわきわきしながらノアールに近づいていくと、ビクっと怯えるノアールの前にリリィメイドが現れて、オレの進行を阻んだ。
「お待ちください!ライ様!」
「およ?」
「やはり、親子でこういったことは健全ではありません!」
「あれ?いまさらなにを?」
「いまさらも何も!ダメなものはダメなんです!」
珍しく、ちょっとキレ気味なリリィ。
でも、オレはもう止まれないところまできていた。
「でも!ノアールもオレのお嫁さんだもん!」
「それでもダメです!」
「むー!ダメじゃない!」
「ライ様!」
「け、ケンカしないで!パパ!ママ!」
メイドノアールが不安そうに、オレたちの間に入ってきた。両親のケンカは見たくないよね。まぁ、オレ自身はイチャイチャの延長みたいにしか思ってなかったけど。
「あ…ノアール、別にこれはケンカとかではなくてですね…」
「ほんとに?」
「ちょっと、パパが変態すぎてお仕置きしてるんですよ」
「ん?リリィさん?」
「……ノアね、ちゃんとパパのお嫁さんやりたい…ママたちみたいに…」
「ノアール…」
「だからね、どうすればいいか、教えて?ママ」
わぁい。
オレは心の中で静かにガッツポーズをとった。
最高の展開だ。
ノアールにこう言われたら、優しいリリィは断れないだろう。オレが駄々をこねつづける必要はなくなった。
「……」
「まぁまぁ、ノアールもこう言ってることだし、ね?ママ?」
「……」
オレが軽い感じで口を挟むと、リリィがこっちを向いてちょっとムッとした。頬が膨らんでいて可愛い。
ぷいっとそっぽを向いてしまった。なんだか反抗されるのは久しぶりだ。
「……」
そのせいで、リリィを屈服させたいという欲望が出てきてしまった。リリィはもっと従順なお嫁さんだよね?むふふ…、という感じだ。
「リリィ…」
オレはグッとメイドリリィの肩を掴んで、ベッドに押し倒した。
「きゃっ!?ライ様!」
「一旦、ノアールのことは置いといて、イチャイチャしようぜ」
「なに言ってるんですか!ダメです!バカ!」
「ば、ばか…」
「あ…いまのは…」
リリィにバカって言われたの、はじめてかも…
「んむっ!?」
いつものリリィを取り戻したくって、オレは夢中になってリリィの口にむしゃぶりついた。
「んあっ!?ライ様!?」
「はぁはぁ……リリィが反抗できなくなるまで、しちゃうぞ」
「…なんですか、それ…」
「にゃー……ママとパパが……交尾…するの?」
「っ!?ライ様!ノアールが見てます!」
「そのつもりで、呼んだんだけど?」
「この!悪いパパです!…こら!」
ぐいぐいとオレを押してくるリリィを組み伏せて、耳元で愛してると言い続けた。
「そういうことじゃないんです!…あっ!?……だめ…だめです……」
そして、一回戦を終える頃には、いつもの素直なリリィが帰ってきた。
というか、ぐったりと目に涙をためて諦めた顔をしていた。
「にゃー……ノアもこんなことされてたんだ…」
ベッドの横で座り込んで、オレたちのことをずっと観察してたノアールがそんな感想を言ってくる。
「よし、次はノアールの番だぞ」
「にゃ!?」
オレに声をかけられ、少し後ずさるノアール。
「こっちきて」
グイッと腕を掴んで、リリィママの上にうつ伏せに重ねた。
「ノアール…」
「ママ…」
2人が見つめ合う。
その隙に、ペロリとノアールのスカートを捲りあげた。
「にゃ!?」
そこはもう準備万端であった。
「パパとママのこと見てこんなにしたのか、えっちな娘だね、ノアール」
「にゃ…にゃんでそんなこと言うの…」
「ライ様…ノアールにひどいことしないで…」
「ひ、ひどいことなんてしないよ?優しくするよ?オレ、いつも優しいだろ?」
「……」
なんだか、リリィは納得してなさそうだ。
ついさっき、わたしはひどいことをされました、みたいな顔をしている。
……ごめんて…
「にゃ!?」
「ああ!?」
だから、オレは、謝罪の意味も込めて、ノアールとリリィのことを交互に愛することにした。
これで2人とも満足できるだろう。
まぁ、1番満足してるのはオレなんだけどさ。
♢
メイド親子丼を楽しんだ翌日、オレたちが3人で朝食に訪れたのを見て、他の嫁たちの態度も軟化した。この2週間くらい、みんなにジト目を向けられ続けてきたが、ノアールと仲良しに戻ったのなら許してやろう、ということなのだろうか。
とりあえず、変態やろーの人権は復活したようだ。
うん、別に気にしてなかったけどね?
ミリアとか、ステラは優しかったし。
……よし、冷たくしたやつらに近々愛を囁こうと思う。
こういうのはバランスが大切だ。
……嫌われるのはこわいからね…
とにかくだ、今日からはまた、オレたち親子は3人で寝ることになった。
つまり、そういうことだ。
♢
-夜-
「すぅ、すぅ…」
右手側からノアールの寝息が聞こえる。
「リリィ、リリィ」
「……」
「ん?」
左手側のリリィに声をかけるが、目をつむって反応しない。起きてると思うんだけど、なんで?
「……んー?あぁ、そういうことね。じゃ、寝てる間にしちゃうから」
オレはズボンを脱いで、リリィに覆いかぶさった。
「ちょ!?ノアールが隣に!」
「やっぱ起きてた。もうそういうのいいからさ」
「んむ!?」
オレは昨日に続き、イヤイヤしてるリリィを楽しむ。
「………にゃー…」
すぐにノアールにも気づかれた。
そりゃそうだ。同じベッドで寝てるんだもん。
ということで、今日も今日とて親子丼を楽しむことにした。
毎晩親子丼が食べれるとか!
異世界転生!最高かよ!
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