第356話 ヘンタイとは?
「ただいまー!」
「おかえりー!」
屋敷に帰ると、予想通りノアールが出迎えてくれる。
走ってきて飛び込んできたので、抱きしめさせてもらった。
「おかえりパパ!お仕事お疲れ様!」
「おう!ありがとう!ところでノアール!」
「なに!」
「キスしてもいいか!」
オレは今日一日考えていたことを口にした。早くノアールとイチャイチャしたい!
「へにゃ!?だ、だめ!」
しかしながら、謎の回答が返ってきた。
「え?」
フリーズする。
オレの幻聴だろうか?謎の否定だ…なぜ??
オレが呆然としていると、ノアールがオレの腕の中から離脱し、リリィママの方に逃げていった。
「……おかえりなさいませ…ライ様…」
「た、ただいま?」
リリィはなんだか暗い顔で笑っている。
「な、何かいいことあった?かな?へへ…」
思い当たることはないので、ちょっとふざけてみた。
「……ライ様…」
あ、これダメなやつだ…と察する。
オレは笑うのをやめて、姿勢を正した。
「は、はい…」
「昨晩は、ノアールにずいぶんアブノーマルなことをしたそうですね?」
「へ?」
ノアールは、リリィママの後ろから顔だけだし、オレのことを恥ずかしそうな顔で見ていた。
「まさか……」
「昨晩のこと、ノアールから全て、聞かせてもらいました」
「すべて…」
「そうです」
「……普通のことだって言ったのに…ウソついたんだ……パパのへんたい…」
♢
リリィママに怒られ、ノアールに変態呼ばわりされ、凹みに凹んで、とぼとぼとリビングに向かうと、嫁たちが待っていた。
ほとんどの嫁がジト目をしている。
みんな、「変態が帰ってきた」みたいな顔だ。
ステラだけが笑っていた。
「おかえり、変態」
「ただいま…ツンデレ魔法少女…」
「だれがツンデレよ!」
「まぁまぁ、ライさんの変態は今にはじまったことじゃないですか♪
はい、ご飯ですよ♪今日もお仕事お疲れ様です♪」
ステラがオレの席を引いて座らせてくれて、夕食を出してくれた。
「ありがとう……ん?変態がなんだって?」
「いえいえ、なんでもありません♪
結局のところですね。みんな、ジト目してますけど、ここ1ヶ月近くほおっておかれてたことに怒ってるだけですよ。たぶん」
「な、なるほど?」
「おい、おぬしはいつも適当なことを言うでない。わしは、この変態に倫理観はないのか問いたいのじゃ」
「え?でも……ノアールのこと許してくれるって…」
「昨日の今日で手篭めにするとは思わなんだ。しかもあんな……変態め…」
「ご、ごめんなさい…」
「ボクもどうかと思うよ」
「ピー」
「ミィは…わかんない……でも、おにいちゃんは、へんたいさん…」
「右に同意だな」
「ぐぬぬ……」
「ほらね。あんたはノアールに謝った方がいいわよ。変態でごめんってね。
じゃ、わたし部屋に行くから、変態」
そう言い残し、ソフィアがリビングが出て行こうとする。
「ぐ……あれ?ご飯は?一緒に食べようよ」
「もう食べたわよ、あんた遅いんだもん」
「しゅーん…」
「私はまだなので一緒に食べましょ♪」
「ステラ…天使かな…」
「うふふ♪」
そしてその晩、みんなに責められたオレは、ステラを抱き枕にして存分に甘えさせてもらうことにした。
「うふふ♡みんな嫉妬してるだけですよ、よちよち♡」
「うー…ステラー…ステラだけはいつも甘やかしてくれる…好きだ…」
「ライさん、かわいい♡」
なんて優しいんだ。みんなだってステラを見習って優しくしてほしい。
そりゃあ、ノアールに対して昨日したことはさ……たしかに結構アレだったかもだけど…でもさ!嫁のことは全部味わいたいって思うじゃん!?
……いや、どうなんだ?
「ライさん♡嫌なことは全部忘れて私に甘えてください♡」
「……うん!!」
♢
翌朝、ステラのおかげで自信を取り戻したオレは、昨日みんなに怒られたことをすっかり忘れていた。
いや、忘れることにした。
そして、都合よく解釈することにした。
結局みんな嫉妬してたんでしょ?おーけー、おーけー、今日からたくさん愛してあげるからね!そんな感じである。
廊下に出ると、
「はぁ、なんなのよ、あの変態、最低」
なんてブツブツつぶやきながら歩いているツンデレを見つけた。
あとをつける。
ツンデレ魔法少女はトイレに入っていった。
そっと聞き耳を立てる。すると、ガサガサ音がしたあと、神聖な水音が聞こえてきた。
「ちょろ…ちょろろろ………」
オレは鍵穴に手のひらをかざす。
以前から練習していた重力魔法の高等な応用方法だ。
オープンセサミ(鍵よ開け)。
ガチャ
オレは解錠を確認してすぐに扉を開けた。
「……は?」
扉を開けると、洋式の便座に腰掛け、膝に両肘をのっけて両手で顎をささえているツンデレがいた。ため息まじりに放尿していたのだろう。
いや、まだ聖水の音は聞こえていた。
「……ちょろっ」
あ、今終わったらしい。
ソフィアは、オレを見て目を丸くしている。オレはその目を見続けたまま、内側から鍵を閉めた。
「な…ななな!なんなのよあんた!変態!」
「待たせてごめんね?」
「なに言ってるのよ!は!?わたしにもノアールと同じことする気なのね!変態!」
「それって、して欲しいってことだよな?」
「違うわよ!」
「はいはい…」
オレはやれやれと言う顔でソフィアの前に跪いた。
ソフィアの膝を持って開かせる。
「や!やめてよ!変態!」
「いやだよ。だって嫉妬ばっかして可愛いんだもん。あと変態変態うるさいよ」
「近づいてこないでよ!」
「だから、ノアールと同じことしてあげるってば」
「いやいや!いやー!あっ!?」
いやいや言っていたが、しばらくしてやると涙を溜めて大人しくなったので、立ち上がり、目に溜まった雫も舐めとっておいた。
するとキッと睨んできたので、その場で可愛がってやる。
へへへ、ひさしぶりのツンデレ、最高だな。
「美味しかったよ、ソフィア」
「……サイテー…」
なんだかまだツンツンしていたので、部屋に連れ込んで2回戦をしてやることにした。
♢
よーし、朝からスッキリしたので、今日もお仕事頑張るかな!とりあえず腹ごしらえだ!
ということで、ビクビクしてるソフィアをベッドに残し、ひとりリビングへと向かう。
ステラが朝食を用意してくれたのでそれを平らげて、お皿をキッチンに持っていくと、ステラに耳打ちされた。
「ライさんライさん」
「なぁに?」
「わたし、ずっと我慢してたんです……だから、昨日のじゃあ足らなくって…今晩も愛して欲しいです♡」
「…もちろんです!」
うひょー!今日も仕事が捗りそうだぜ!!
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