第332話 迎えに行くよ

 夜中、メイドたちを堪能し尽くしたオレは、自室で一人になったところで、最近の習慣になりつつある通話をはじめることにした。


『もしもし、ノアール?』


『はぁーい!こんばんは!パパ!』


 欲望を全て吐き出した賢者モードのオレは、純粋な娘の声を聞いて、さらに賢者モードにバフがかかる。

 正直なところ、若干気まずい。


 変態なパパでごめんよ……そんな心持ちだ。


『こんばんは、ノアール』


 でも、平静を装って返事をすると、開始早々とんでもないことをノアールが言い出した。


『えへへ!ノアね!今日モンスターを倒したんだ!』


『ん?』


『だからね!もうパパの冒険についていけるよ!』


『ちょ、ちょっと待って、ノアール。モンスターを倒しただって?そんな危ないことしたらダメだろ?』


 父親として聞き逃せないセリフだった。

 すごく心配になり、注意せざる得ない。


『あ……でもね!アリアさんもルゥさんも来てくれて!一緒に戦ったから大丈夫だよ!』


『いやいや、そんな、ノアールは小さい女の子なんだから、モンスターと戦うなんてそんなこと……』


『ノア小さくない!!』


 突然、大きな声で怒鳴られた。


『の、ノアール?』


『ノアおっきくなった!強くもなった!なのになんでパパは怒るの!』


『ノアール、あの……オレはただ……』


『ノアは!パパと一緒にいたいから!だからずっと頑張ってきたの!だから!!怒らないで!褒めてよ!!』


『あわわ……』


 何がトリガーになったのか、ノアールがめちゃくちゃブチ切れていた。この前の比じゃない反抗期的な物言いにオレはおどおどする。


『ノアール、ごめんな……』


『……』


『パパはただ、ノアールが大好きで、心配だったんだ』


 オレは深呼吸してから、ゆっくりと気持ちを伝える。

 ノアールは黙ってしまい、答えてくれない。


『……』


『オレが知ってるノアールはすごくちっさくて、だから、モンスターと戦ってる姿なんて想像できなくてさ』


『でも!』


『うん、わかった、ノアールだって成長するもんな』


『……うん…』


『モンスターと戦うときは、アリアさんにちゃんとお願いして、許してくれたから戦ったんだね?』


『うん……ちゃんとお願いしたら、ノアールは強くなったから、初級くらいのモンスターなら倒せるだろうって……それに、いざとなったら守ってやるって言ってくれたよ……』


『そっか、ノアールは強くなったんだな』


『うん……』


『わかってあげれなくごめん、あのさ、ノアール』


『なぁに?』


『ノアールは強くなって偉い、パパの自慢の娘だ』


『ほんとに?ノア偉い?』


『うん、パパはノアールが強くなってくれてすごく誇らしいよ』


『そっか……そっか!えへへ……パパに褒められちゃった///あ……さっきは怒ってごめんなさい……』


『ううん、オレの方こそ、無神経でごめんな』


『そんなことないよ、パパはいつも優しくって、カッコよくて……だから会いたくって……ノア…寂しい……』


『ノアール……』


 遠く離れたところで、ノアールが寂しがってる姿を想像して胸が苦しくなった。なんでオレはこの子を置いてきてしまったのかと後悔する。


『ノア……パパに会いたい……』


『オレも会いたいよ……』


『……でも、来てくれないよね…』


『……ごめん』


『……』


『いや……違うな……会いに行くよ』


『え?』


『オレはノアールに会いに行く』


『……うそ?』


『うそじゃないよ。少し時間はかかるかもだけど、ここからだと2ヶ月くらいかかるかもだけど、オレはノアールを迎えに行く』


『ほんとに?』


『うん、ほんとだ、約束する。待っててくれるかな?』


『うん!……うん!ノア待ってる!!パパに会える!また会えるんだ!わー!ノアすごく嬉しい!いつくるの!あ!2ヶ月だよね!そんなのすぐだよね!ノア頑張って我慢する!それにね!そのときにはもっと強くなってるから!』


『ははは、あんまり危ないことはしないでくれよ?オレたちと合流してからだって、強くなれるんだしさ』


『わかった!ノアがんばる!』


『んー?』


 なんだか、ノア-ルのテンションが高くて不安になる。1人で無茶なことをして、危険な目にあってほしくない。


『もしモンスターと戦うなら、必ずアリアさんたちに同行してもらってくれよ?』


『うん!わかった!わーい!パパが来る!パパが来るんだ!!』


 そのあとも、しばらくは興奮冷めやらぬノアールと会話をして、絶対一人では危ないことはしない、モンスターとも戦わない、と約束させてから通話を切った。


 オレは立ち上がって、窓の外の夜空を眺める。


 次の目的地が決まった。


 ノアールが待つ、海産物の町ウミウシだ。




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本作をご愛読の皆様、いつもありがとうございます♪

皆様にお願いがあります。


とりあえず、前の2話でおっきしたやつは何も考えずに★をくれないか?


おっきしなかった賢者は熟考した上で★をくれないか?


「異世界で攻略サイト見ながらハーレム作ります」を再びランキング上位に

導いてくれ!


                     メイドっていいよね。真心糸

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